ノーハックルサイドワインダー ——- No-Hackle Sidewinder

色々な選択の中、これも一つの選択
テンカラでパラシュートフライは邪道と 考えるか
ドライに出る魚を楽しむか
テンカラ仕掛けでラインからハリスまで水面に着けず
パラシュートフライのみ着水
竿の長さで流れを跨ぎ 竿の操作で毛鉤のみ水面の動きに合わせる
メンデングではなく、ナチュラルドリフトは全て竿先で操作
風を利用し流れを抑え
点で繋げた線で魚を誘う
魚と対峙するのは毛鉤のみ
これもテンカラの楽しみ

仕掛け テンカラ竿 3.6m
ライン   4.5m
ハリス   0.8号+0.6号+0.4号 段継 合計1.5m程

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ノーハックルサイドワインダー TMC500U #18

ドブ漬けフロータント処理中で写真を撮ってしまいました(笑)

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ノーハックルサイドワインダー TMC500U #18   下面

渇水期に入った中津川中流域プールのヤマメ狙い(No-Hackle Sidewinder  羽蟻)

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ノーハックルサイドワインダー  TMC500U #18  正面

テンカラでNo-Hackle Sidewinderも選択の一つ
針      TMC500U  #18
テイル    ラクーンヘヤー
ボディ    スレッド
ソラックス  ピーコックソード
ウィング   マラードウイング

ノーハックルサイドワインダー 浮力重視タイプ

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ノーハックルサイドワインダー 浮力重視タイプ 斜め上
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ノーハックルサイドワインダー 浮力重視タイプ  下
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ノーハックルサイドワインダー 浮力重視タイプ 上
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ノーハックルサイドワインダー 浮力重視タイプ  横

針         TMC103BL #18
テイル       コックドレオン
ボディ       コンドルダイドイエロー
ソラックス     ファインダブ
ウィング      マラードウイング
インディケーター  ラビットスノーシュー

浮力に乏しいノーハックルサイドワインダー
インディケーター代わりのADWかスノーシューと
テールを少し伸ばしただけで浮力アップ
テンカララインを水面に着けず操作するのが楽

この近辺の渓流は6月中旬から7月中旬辺りまで
どんな毛鉤でもポイントに入れるだけで釣れます
その後、摺れるのか魚が抜かれるのか一気に反応が無くなります
却って楽しい毛鉤のシーズン開始、様々な毛針で反応を探っていきます
その場なら同サイズの色を変え、その次にサイズを下げていきますが
その後の毛鉤の選択が大事、そのための毛鉤作り
定番の毛鉤では反応しない魚の多さに気が付きます

ここで追記・・・読み飛ばしてください
しみったれの貧乏人ですから規定幅以下でサイドワインダーを巻いてます
何故かというと

ウイング幅が狭い・・・ワンペアのウィングフェザーで巻ける数が桁違い
たかだか3本少ないだけで、倍巻けます

ウィングの根元をキッチリ絞り込むと耐久性が桁違い
華奢な毛鉤では有りません、狭いから尚更強いです

本来なら使わないウィングの先まで使っています
そのかわり、色の濃いウィングも出来ます

このパターンの大事な所は鈎軸より下にウィング下端のカーブが
緩やかに水と接する事と思います・・・ならばこれでもサイドワインダー

パラシュート・フライ用ポスト素材

パラシュート・フライのポストの主流は
エアロ・ドライウィングに代表される化繊系
巻き易い、調整が容易、素材自体の浮力等
手軽さだけでなく、利点は多いのは認めていますが

自然素材信仰は無いけれど
カーフボディ・ヘヤーを使っています

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クリンクハマー TMC200R #20 改

針     TMC200R #20
ボディ   グースバイオット ペールイエロー
ソラックス ファインダブ   ダークブラウン
ハックル  ミディアムジンジャー シャンパン
ウィング  カーフボディ・ヘヤー

カーフボディヘヤーが好きな理由

浮力性・・・フロータントの付着・持続性が良い
耐久性・・・フライボックス内で毛先が丸まらない
復活性・・・藻・ゴミ・ヌメリ等ヘヤーの形状により清掃容易
視認性・・・透過性がある化繊に比べ、マットな素材の利点

品質の差が有り過ぎるがその中から選ぶのがフライ作りの楽しみ

普通毛鉤 ラストホープ 

妙高関川 乙見ダム下から氷沢出会いまで
ダムの放流も無くなり夏の渇水期
ヒゲナガやモンカゲがちらほら
流れがあれば通常の毛鉤
瀞場は止水の状況
ハリス0.8号に0.6号を段継して
まずは、クリンクハマー #20

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クリンクハマー #20

淵際に出る24~25㎝に相手をしてもらって
その後の本命筋用

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TMC200R #20  調整
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ULTRA WIRE X-SM COPER
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コッパーワイヤーをスレッドにして

針      TMC200R #20改
スレッド   極細 コッパーワイヤー
ボディ    山繭ダイド ミディアム・ブラウン
ハックル   ホフマン コーチマンブラウンダイド

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普通毛鉤 (島崎氏ワイヤーアントの様)

サイズが小さいので水馴染みを良くするために、スレッド替りにワイヤー使用
山繭ダビング材は、ワイヤーにも良く依り付きます(カラーバリエイション)
切り残したベンド側のワイヤーで最後にアイまで補強を兼ねたラッピング

富士流逆さ毛鉤 ヤマメ毛鉤

私にとって、衝撃的な毛鉤でした
初めて、毛鉤に対して美しいと思いました

ラインは最低4.5mから定番6m、最長 8m
ハリス 0.8号 1.5m~1.7m
アタリは手感か流しながら誘いながらの聞き合わせ
キラっと光るヤマメの反転

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TMC103BL #15
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富士流逆さ毛鉤 真似

胴はゴールドティンセルを下巻にユニ社ライトケイヒル 8/0で形を作り
ソラックスにはピーコックソード
ハックルは雉のウィングカバーフェザー
ヘッドに朱色ダイドの山繭

剣羽根孔雀胴毛鉤 イワナ毛鉤

ピーコックソード&オレンジシルク胴に使った
剣羽根のバッド側の残りで別バージョン

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剣羽根孔雀胴毛鉤

ちなみに15年程前、同じピーコックソードで巻いた剣羽根孔雀胴毛鉤

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剣羽根孔雀胴毛鉤

同じく、剣羽根孔雀胴毛鉤
孔雀胴の銅色、釣欲で溢れかえっていた時

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剣羽根孔雀胴毛鉤

同じ釣針と材料でこうも違うものかと今更ながら感じる
さすがに釣針の劣化は有るものの
毛鉤自体があの頃は武器
何匹掛けたか忘れたけれど
ヘッドのバーニッシュを塗れば綺麗
パートリッジの鈎は剣羽根と同じで耐久性が高い
胴を短めに仕上げてあるのも訳が有る
サマーサモンフライと同じ意味合い

剣羽根毛鉤孔雀胴 盛夏

夏本番
北アルプスの残雪も僅か
トンボのおかげで
ウルルや蚋も減り
関川上流、真川もそろそろ川辺を
バッタが埋め尽くす間際
(バッタと言うよりイナゴ)
お決まりの
孔雀胴の時期
茶色にダイドした剣羽根
オレンジシルク

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パートリッジ社 K12ST #16
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茶剣羽根 ピーコックソード オレンジシルク  横

#16とはいえセッジ用のフック、並の#10程度

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茶剣羽根 ピーコックソード オレンジシルク  上

タグ  ゴールドワイヤー 3巻
ピーコックソード補強を兼ねてリブを巻く

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茶剣羽根 ピーコックソード オレンジシルク  正面

この時期こその、キジの茶色剣羽根・孔雀胴・オレンジ・の組み合わせ

伝承毛鉤について

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伝承毛鉤 蓑虫毛鉤

各地・各渓・名手の手による様々な毛鉤

~道では無いけれど、魚籠持ちから始め
渓への道から歩き方、山で必要な知識を得る
山菜・茸に詳しい者、獣に詳しい者
勿論、魚採りが巧みな者
餌釣り、毛鉤釣りが巧みな者
才能と知識が溢れていた
それが、萬ある中の、生きる術の一つ
仕事を共にすることで伝承される業
田畑作業から家造り、道普請から川ざらい
全てが己の手と皆の手で作り出されていた
昔、信州と新潟の秋山郷周辺は秋田マタギの縄張り
妙高山周辺は木地屋集団、檜皮葺きを生業
笹ヶ峰周辺は隠し金山守護ともいわれる辺境守護
近代、ジャガイモで開墾、開拓、撤退を繰り返す
その地、その地で歴史もあるし、人と人の交流もある
この毛鉤のルーツは遠刈田毛鉤かもしれない
乙見ダム建設で来られた方の手慰みの毛鉤が
親交のあった方から伝えられたもの
この毛鉤の倍ぐらいデカいのを関川の一ノ橋下で使っていた
爺様も石のシャッポを被ったし、もう使う人も居ないと思っていたら
信濃町の人が関川で使っていて懐かしいやら驚くやら
これも一つの伝承

今ではこれも関川のりっぱな伝承毛鉤
作る人もいれば、それで釣る人もいる

独特な使い方は伝わっていくのだろうか

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伝承毛鉤 蓑虫 上

針      がまかつ R10-B #12
ボディ    絹穴糸 16号  オレンジ
ウィング   日本雉 テールサイドウィング

日本雉はフライで使われるフェザントテールと違い、裏面が濃い又は黒い
先ではなく軸側の皮付きを使うのはヒゲナガのウィングを表現
(ボリュームを出し水面の振動と波紋で魚を誘う)
3段でカディスウィング状に付ける
夕方、水面を滑らすため敢えてキールタイプに巻く
ヤマドリでなく雉を使うのは、水弾きが良いから
この一つ一つが業、これが伝承、

先回ご紹介した、剣羽根の処理も同じ
この処理方法も一つの伝承

なぜが判ればそれが伝承毛鉤

採るには早い小さな舞茸なら屋号を残し
大きくなるのを待ったもの
そんな共同体意識も、はるか昔の話

以下爺の戯言 ———————————–

夕方、一ノ橋下の二つのプールで振ってた
爺様の毛鉤はデカかった
遠目に見ても判る毛鉤の大きさ
羽軸の皮を毟り取ってそのまま餌針に巻き付けたもの
細く切ったプラスチックの束の様な毛鉤

山道具(剣鉈・藪払い・熊鈴・竹ビク)

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山道具(剣鉈・藪払い・熊鈴・竹ビク)

勿論、渓流釣り
山菜・キノコ採りにも欠かせない

これで熊と戦うわけではないけれど
行く場所で剣鉈か藪払いをぶらさげ
戸隠は竹細工の名手、西さん(故)
手作りの竹ビクが、揃えば山行きの正装

剣鉈・薮払い何方も両刃

片刃は切れ込む力が強すぎて
山で使うには両刃に限るかと思う
薮払いには
角鉈の先の重みが切れを助ける
剣鉈は万能の山庖丁
捌くにも料理にも道具作りにも
魚以上の大きさなら
却ってもっと小型が使い易い

剣鉈は刃渡り 210㎝ 重さも軽い
ダマスカス仕上げなので中砥で刃紋を生かし
刃の部分だけ仕上げ砥で最終調整
山菜採りで株を傷めず収穫するのに丁度良い

薮払いは刃渡り260㎝ 竹割の倍の厚み
山師の旧家からの出で、欠けはあるし錆も凄く
大太刀(同田貫)程の手頃な厚みで
竹割の様に、背に打痕も無く
最初は日本刀(残欠)の作り替えかと思ったくらい
棟梁の協力も得て研ぎ直し、仕上砥に吸い付く感触
割りに浮き出る刃紋も美しく
何より枝払いの時の音が高い澄んだ鈴の音
楽しくなって、剪定後の片付けも捗る
切れは勿論、刃持ちも凄い

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打ち刃物

 

竹ビク
竹ひごの細さと厚み・削りに技が有り
素材の根曲がり竹自体が違うそうな
実際、泥の崖を5m程、滑落
落ちてる最中、怪我を覚悟
この竹ビクがクッション替わり
どちらも怪我無し

竹ビクはクルミ油で、鉈は砥石で
どちらも手入れが欠かせない

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(故)西さんの竹ビク

釣り上がりながら、所々で
沢水の入る砂場に袋ごと魚を埋めて
帰りに回収(丸のままなら夏場でも傷まない)
もっと昔は一斗缶、背負子に縛る

私の大事な山道具

藪払いにも作法有り
切り口を入れて捩じれば済むものを
袈裟掛けになんでも切り残す
木槍、竹槍 後片付けが大変
そんな輩が情けない

以下爺の戯言 —————————–

薮払いと混同されているのが細身で長い竹割鉈
それとウナギ鉈の様な刃が内側に湾曲した鉈
薮払いというよりは林業用の下枝打ちの登り鎌

先に石突き付きは振り下ろすための薪割り用
その石突きを尖らせて刃まで付ければ凶器
処変わればとは言え
確かに鎌・鍬なら刃角度や柄の違いは風土の違いでも
こと鉈の対象物は余り変わらないと思う

上越に打ち刃物の名工 メクラさん有り
使ってみればやっぱり凄い
切れ・持ち・研ぎ易さもさることながら
何より道具としての品位

(故)西さんの竹ビク
世話になったと予備も入れて同型2個
死ぬまで使えと言われても
ビクが鳴く程に
山菜やら茸にフル出場でも傷まず使える丈夫さ
竹の艶にも年輪が加わり凄みまで

各地で認められた名工の作は
使えば使うほど判るし
結局残る・・・

テンカラ叩き上がり用毛鉤  tenkaraMountain stream

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テンカラ 叩き上がり用毛鉤
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テンカラ 叩き上がり用毛鉤 左側
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テンカラ 叩き上がり用毛鉤 上側

妙高関川はこの時期、水面しか反応せず又大型の毛鉤を見切る事が多い
日中、気温が高く落ち込みの水泡の中に潜んでいるイワナ用

針      TMC102Y #15
スレッド  ユニ社 8/0黒
タグ    ユニ社 ファイヤーオレンジ・スレッド
ボディ   トンビ(ミディアム・グレイ・ダン)
ソラックス ヘヤーズイヤー(黒)
ウィング  ラビットスノーシュー(ナチュラル)
ハックル  ホフマンヘンネック (チョコレート・ダン)

ウィングを巻き止めてからソラックスを丸くダビング
その上をウィングで覆いアイで折り返しフロントハックルを巻く

ボディのトンビは犀川で拾ったウィングフェザー
コンドルと同様、リブが立ち非常に丈夫
ウィングのスノーシューはある程度の浮力が持続し
エルク等に比べ切れも無く長持ち、ヌメリも取れやすい
フロントハックルは薄巻

毛鉤なのかフライなのか
釣法的に
テンカラの方が使い易い物を毛鉤
フライフィッシングで使い易い物をフライ

伝承毛鉤の良さを理解しながら
豊富なマテリアル活用は楽しい

叩き上がりとはいっても水を蹴散らしながらではなく
大岩の脇、主流の白泡の上、又白泡の中に捨て針を
置きながら3回に一回ぐらい、流れにまかす
投射性が一番大事、伴うリズムが大事
ある程度の浮力が有れば操作が楽

リマリックダブリンベンドフックタイプ Limerick Dublin Bend Hook

名称未設定-1
オールドリマリックのダブリンベンドフックタイプ Limerick Dublin Bend Hook

ループアイを伸ばし、ポイントを少しアウトポイントへ調整
お手軽、ブラインドアイ サーモンフック
荒川 鮭実釣用

 

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完全実釣用 荒川

 

ジジイの戯言————————–

過去からの遺産と現在の毛鉤用針の中で
好みの釣針を見つける事は
ワイン好きが過去を含め
自分好みのワインを見つける事と似ている
好みを言えば仏産グラーブ地区のもの
こざっぱりとした香りの中に砂地の匂いがする
ワインで言えば産地、釣針で言えばメーカーか
この辺りで好みの方向付け
後は個々、飲んでみて、巻いてみて
一般的な物は生き残っている(低コスト物は尚更)
琴線に触れる様な個性が強い物は製造中止
その後、後発メーカーが別名で復刻(似て非なる物ばかり)
テンカラ針は環付き針が無かったからとは言われるが、使っていたエサ針に
羽根を巻いただけ(エサ針はハリス付きで釣針となる)
元々毛鉤はハリス付き、その後の改良で環付き
好みは有っただろうが、選択は少なかった
今ならそれこそ古今東西、選択の余地は無限大
どんな毛鉤でも釣れる魚は居る、足で稼げば尚更
自分が満足した毛鉤で思い通りに魚を掛けることが
今も昔も釣り方を含め、毛鉤釣りの一番の醍醐味と思う