緡・・・釣糸

緡・・・釣糸
この緡(さし・いと)と言う漢字との出会いは
武田信玄公のトレードマークで有る「諏訪法性兜」の白毛の兜に見られる
飾り毛の「ヤク毛」から始まる

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「諏訪法性兜」・・・すわほっしょうのかぶと

織田信長公・豊臣秀吉公・徳川家康公も同じ・・・

徳川家康公自身の言葉に
「家康に過ぎたるものが二つあり、唐の頭に本多平八」が有る程、好まれた

唐の頭とは

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唐の頭

英式の兜・・・ワーテルローで使われた洋式の甲冑の頭

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唐の頭

珍重されたため鎖国時代にもわざわざ清国から取り寄せた程
(此処に使われる「ヤク毛」は勇猛な動物とされて珍重された)

鮎毛鉤で使われる「リュウ」はこれを様々に染色して使われると聞く
この説明が古くから鮎毛鉤の製造を行っていた
銀座 みす屋の店主「中村利吉氏」監修による「日本水産捕採誌」に残る

第一節 鉤
擬餌鉤は餌料を用いず餌に似たる物を造り以て魚を欺きて釣獲するの具なり。故に之を用ゆるを俗に「ダマシ釣」とも云う。淡水魚中には羽蟲を好み水上に跳り出て蟲を食う者あり。是等の魚を釣るに用ゆる擬蟲は種々の鳥の羽毛を以て作りたるものにして其大さ蚊の如くなるを蚊頭鉤又単に蚊鉤と云い稍や大にして蜂の如くなるを蜂頭と云う。其品種頗る多く殆ど五十種に及ぶ皆其名称を異にす。斯く品種の多き所以は或は期節に依り或は地方の慣用を異にすればなり。皆白馬の尾毛を附けて緡となし漆を以て其の結処を固め丸くなす。而して之に金箔を抹したるを金玉と云い朱を塗りたるを朱玉と曰う。

此処に出て来る「緡」は白馬の尾毛としているが
鮎毛鉤に残る「リュウ」=「ヤク毛」が殊に気になる
武家階級だけに認められた加賀の「鮎毛鉤」はもしかすると
「シケ糸」自体が「ヤク毛」であったかもしれない
手持ちの古い毛鉤材料にその「ヤク毛」の40㎝程の一束が残る
鮎毛鉤に使われる生の絹糸7本の「シケ糸」より強度は高く頭髪並みに細い
中空で透明なその質は「ポーラーベア」と同様でもっと細くしなやか・・・
同じく古い毛鉤材料の馬の尾毛の「白」「透明」「黒毛」と染色された「赤」「透明の赤」
・・・勿論、古い英国トラディショナ・フライにも使われている・・・

初期型の「真田毛鉤」の紹介記事
長良川と郡上竿の世界

此方で紹介された初期型の「真田毛鉤」に有る「黒龍」の名はその「緡」に黒のナイロン糸
これも古くは黒毛の馬の尾毛だからこそ「黒龍」= 黒毛の名馬かもしれない
・・・「緡」はチモトを補強し巻き止める糸、古くは釣糸・・・

歴史の遺物には何時でも現代風解釈が付き纏うがそこに「望み」まで入り込む(笑)

手持ちの「ヤク毛」と「馬の尾毛」

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「ヤク毛」と「馬の尾毛」

フライで「ヤク毛」はストリーマーのウィングにポーラーベアの代りに使われる
精製されて白色よりは透明感と煌めきが高く細かいウェーブでバルキー
馬の尾毛はストレートで張りも強くヤク毛より倍程も太い

緡・・・釣糸” への6件のフィードバック

  1. 毎回のお話を私にとっては新鮮な驚きをもって拝読させていただいております、ヤク本体も誰も見たことの無い動物なのに、その毛が現物にあれば珍重され神聖化されていく事も然もありなん、ですね。「日本水産捕採誌」の「皆白馬の尾毛を附けて緡となし」は白馬の尻尾はハリスにしていたって事ですよね?本テグスが輸入される以前ではそうだったんですね、黒の馬の尻尾で一度作って見ます。 解釈に「望み」を入れられるのはL.R.Hさんの深い知識と洞察力があってこその賜物では無いでしょうか、それらのお話も読者にとっては宝物です。いつもありがとうございます。

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    1. 満月様 おはようございます
      白馬の尾毛を2本撚って鈎素にするのは東西共通で行われた様です
      とても弱そうで気を遣う釣りになりそうですね(笑)
      綿縫い糸の黒を鈎素にしたとも有りますのでどちらも同じ試みを行っていたようです
      「鮎毛鉤」のシケ糸に「ヤク毛」を使っていたらそれこそ今のスパイダーウェッブ並み(笑)
      自然禁漁中の長野で雪解けを待っているのにそこに雪・・・(泣)
      妄想ばかりがあらぬ方向に飛んで行きます。本テグスの件を眩影様より伺いました。
      本テグスの製法についてはウェブサイトに記述を残された方がいらっしゃいます
      (拙ブログにもそのpdfを紹介させていただきました)
      時間が有れば「真田毛鉤製造元」に行ってみたいと思っています・・・まるでストーブリーグ(笑)

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  2. 本テグスの件はネット多分見ています、以前テグスの磨きはブリキでされていたって仰ってましたね、無事に酢につけて伸ばす事が出来たあかつきには、その方法も是非お教えください、いつもありがとうございます。

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  3. 長野はまた雪みたいで、春はもう少し先ですね。
    画像を拝見したところ、ヤクの毛は縮毛なんですね。
    体毛なので馬の尻毛より細く弱いのでしょうか?
    以前、馬の尻毛と本テグスの強さを比較したら、本テグスの方が倍くらい強かったです。
    毛バリ釣りで馬毛1本だけのハリスなら20センチのウグイでも合わせ切れするかと思います。
    仰る通り2本で撚って使ったのでしょうね。

    「真田毛針」の製造元はまだネット検索で出てきますが、私は小心者なので電話はできませんでした(笑)
    ぜひ、真田毛バリの製造元でどんな歴史があるのかが分かればお教えください。
    よろしくお願いいたします。

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    1. 鮎たわけ様
      写真掲載が遅れ失礼いたしました、
      「ヤク毛」は少し縮毛で人間の白髪に質感が似ています。
      体毛と尾毛に分けられて高級品は
      この写真に有る様な透明感のある白毛らしいです
      高級品は口元の髭に当たる物?又は尾毛?
      体毛のガードヘヤは兜や槍に使われる飾り
      当世具足は権力と名誉の象徴ですから贅沢なものですね、
      調べ出すと違うディープな世界です
      真田毛鉤の件
      同じ思いで自分も居りました(小心者です)
      その後テンカラ毛鉤の流行りで再度登場していますが、
      一般的なテンカラ毛鉤に真田毛鉤の銘は違和感を感じて躊躇していました(笑)

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