「魚心毛鉤」を愉しむ

「魚心毛鉤」を愉しむ

dscf6621
魚心毛鉤

鈴木魚心氏については
こちらのリンク先をご覧ください
「長良川と郡上竿の世界」
概略的には・・・
佐藤苔石氏(釣り人社創設者)や山本素石氏(随筆家)と共に
旧来の和式毛鉤釣りを「テンカラ釣り」とした立役者
戦前から独学でFF釣法やルアー釣法を学び普及に努めた方
フライと和式毛鉤の良さを併せ持つ「魚心毛鉤」を販売

魚心毛鉤
却ってテンカラ釣りの隆盛期である80年代には幻とされていたものが
今は、好事家の手を離れてオークション等でも見かける様になりました
文献に絵図としてしか残っていない当時のテンカラ毛鉤を思い起こすには
今の方が好都合という皮肉なことでは有りますが・・・素直に感謝!
見比べてみると同じパターンでも太さや蓑毛の巻数とかが様々
胴素材がピーコックとゼンマイの組み合わせが多く
テール素材がグレーマラードらしいけれどティールも・・・?
ゴールドティンセルだけでなく
タグ代わりに山繭を使いリブ巻きにハールや巻き糸
蓑毛は雌雉にヘンのグリズリーやブラウンから
芯黒の茶(ファーネス)に芯黒先黒(バジャー)等
ウェットフライのロイヤルコーチマン風が添えられたり
ハス毛鉤の様に薮蚊毛(フライのホーン様な)が巻きつけられたり
そのフライ風毛鉤については当時でも賛否両論だったらしいけれど
今になって見返してみれば充分に和式毛鉤そのものの素材使い

それを基に手前勝手な「今様魚心毛鉤」
今ならではの道具と素材が有ればこそです

「ゴロ蝶毛鉤」を思わせるゼンマイ胴に雌雉の蓑毛場合なら
それをフライのハーフストーンに近づけて・・・

DSCF8114
「魚心毛鉤」を愉しむ

鉤  ガマカツF11-B #10
タグ UVスレッドを下巻きに山繭
リブ カッパーワイヤー撚り
胴  ゼンマイ
元巻 孔雀
蓑毛 ハーフストーン様に巻いて雌雉のフロントハックル仕立て

ハス毛鉤の「石楠花型」も有りました・・・

DSCF8119
「魚心毛鉤」を愉しむ
DSCF8120
「魚心毛鉤」を愉しむ

鉤  ガマカツF11-B #10 スタンダードシャンク
タグ UVスレッドを下巻きに山繭
尾  ティールダック
胴  孔雀胴とゼンマイ胴 2種

段巻きも有りました・・・

DSCF8124
「魚心毛鉤」を愉しむ

鉤  ガマカツF11-B #10
タグ ゴールドティンセル
尾  ティールダック
胴  山繭胴

ロイヤルコーチマン風二種・・・

DSCF8123
「魚心毛鉤」を愉しむ
DSCF8122
「魚心毛鉤」を愉しむ

鉤  ガマカツF11-B #10 スタンダードシャンク
タグ ゴールドティンセル
尾  ティールダック
胴  孔雀胴に朱色の絹糸(中巻きと荒巻き)

疑似餌と呼ばれた時代の毛鉤です
いずれもが50年近く前のパターンで和式毛鉤釣り用
用いられた素材も和式毛鉤で使われていたものです
当時の毛鉤と何が違うかは全体のバランスと思われます
どの魚心毛鉤もボディの始まりがフライの定番様に
バーブの位置に合わせて始まります
テールがとか、リブが巻かれている、とかよりも
フライの様式美に合わせたことが
当時の和式毛鉤との一番の相違点かもしれません
その程度の違いで賛否両論なら
今、販売されている伝承系毛鉤の蓑毛が
米式ドライフライ様に裏向きで巻かれている事に
違和感を感じてしまいます・・・(笑)

もっと古いパターン「羽根附きゼンマイ胴毛鉤」も併せて(笑)

DSCF8121
羽根附きゼンマイ胴毛鉤

鉤  ガマカツF11-B #10 スタンダードシャンク
タグ UVスレッドを下巻きに山繭
胴  ゼンマイ
元巻 孔雀
羽根 ラスティダン2対
蓑毛 雌雉

フライのパトリオットパターンも有りました

DSCF8125
順毛鉤

鉤  ガマカツF11-B #10 スタンダードシャンク
タグ ゴールドティンセル
胴  孔雀
中巻 朱絹糸
元巻 孔雀

・・・今から60年以上前の和式毛鉤パターンです(笑)

ゼンマイ胴の追記
40年以上ともなりますとスレッドに良く乗ります

DSCF8116
ゼンマイ胴の追記

それをツイスターで巻き締めて胴を作ります

DSCF8117
ゼンマイ胴の追記

どこかの鰻屋さんのタレでは有りませんが
毎年、ゼンマイ綿を採ってそこに追加
減るどころか偶に、増えたりしております
古くなりすぎると色目が均一になり過ぎて
胴に仕上げた時に面白味に欠けてしまいます
新旧取り混ぜた色と質のグラデーションも一興(笑)

青濁りに白濁り、里川は泥濁りと大雨警報続行中
農業用水路の水門管理でアタフタしていますと
釣りにも行けずに毛鉤巻きが唯一の慰め
三日で水が抜ける様に仕上げた田圃でも
今年は一ヶ月程、水を入れた事が無い雨続き
リンゴは過水障害で葉が燃えたような茶枯れとなり
収穫したジャガイモは腐れが入りと・・・凄い年です
皆様、どうぞくれぐれもご自愛ください

付記
鮎用バケ針製作も試行錯誤中です
使うスレッドはユニの17/0となりました

DSCF8052
ユニの17/0

試作胴は蓄光型の150デニール・スレッド各色

DSCF8115
蓄光型の150デニール・スレッド各色

思った以上に妖しい出来となりました
こちらは実釣でもう少し結果を見てから・・・

先回の記事はテンカラ・フィッシャー様(tenkara-fisher)から
原稿依頼を受けた為、パスワード設定をしております
申し訳ございませんがご了承をお願い致します

毛鉤番外編

和式毛鉤番外編
・・・前出済の彦兵衛「新ヘラ鮒オカユ鉤」

DSCF8076
彦兵衛「新ヘラ鮒オカユ鉤」

・・・廃盤商品のTMC400Tに似ているとしました

同じ形に見えても表示名違い「新ヘラ鮒スレ鉤」 5号

DSCF8102
新ヘラ鮒スレ鉤 5号

この鈎にお似合いなら・・・

DSCF8101
新ヘラ鮒スレ鉤 5号

こちらは伝統的な和式毛鉤パターンで・・・

DSCF8104
新ヘラ鮒スレ鉤 5号

・・・胴の素材は山繭胴とゼンマイ胴

DSCF8105
新ヘラ鮒スレ鉤 5号

本来の毛羽たき毛鉤
ウーリーワームやオストリッチフライ等では有りません(笑)

流線袖型ならば・・・

DSCF8107
ガマカツ 流線袖 10号

こちらは同じく廃盤商品のTMC947似でしょうか?
ロングシャンクを活かして・・・

DSCF8100
ガマカツ 流線袖

遥か昔のペネリ型にも・・・(笑)

DSCF8097
ガマカツ 流線袖

ボディは「茜」に倣いティペットボディ
ハックルは本来のバジャーハックル
フロントハックルは上半分にフレンチパートリッジ

様々な形が有るのも餌針の面白さです

DSCF8098
ガマカツ 流線袖

元々のフライフックはブラインドアイと思えば・・・

アイ部分の重さはフライ全体のバランスに
意外と影響を及ぼしていると気がつきます(笑)

以下爺の戯言 ——————–

7月1日 姫川水系(糸魚川漁協管轄)解禁日
大雨洪水云々等を聞かない振りをして
年に一度のお祭りをと雨の中、出かけてみました
予想通りの青濁り
探し回って、濁りの無い小河川での鮎釣り
偶には釣れた鮎の写真を撮ろうとしたところで
雨で滑ったスマホが川の中・・・
過去の出来事とも繋がりますが
私にとって魚の写真は験が悪すぎます(泣)

それでも使ったバケ針は有効でした

DSCF8080
鮎 バケ針

鮎毛鉤モドキを解禁前に巻いてはいましたが
結局は白ビーズの鮎バケ針が一番・・・
頭の中は???
それが一番、毛鉤釣りの愉しいところです(笑)

山岳渓流用毛鉤

山岳渓流用毛鉤
・・・彦兵衛「黒鯛用鈎6号」

DSCF8088
彦兵衛「黒鯛用鈎6号」

角張ったセイゴ鈎に丸セイゴ鈎
海津鈎に伊勢尼鈎
ヘラ鮒型の鯉用とか・・・
丈夫さもさることながら
深場や大場所続きの山岳渓流用毛鉤には
重さが有る太軸を錘代わりに使っておりました
太軸鈎の魚に対するダメージは案外と
裂く形と成り易い細軸よりも少ない気がします

彦兵衛「黒鯛用鈎6号」

DSCF8083
彦兵衛「黒鯛用鈎6号」

本角打ち鍛えとは・・・

DSCF8084
彦兵衛「黒鯛用鈎6号」

鈎軸は台形型
針先に向かって徐々に三角に成ります

DSCF8085
彦兵衛「黒鯛用鈎6号」

鈎軸の両側にはっきりとした峰が有ります

DSCF8086
彦兵衛「黒鯛用鈎6号」

今の青塗装とは違う玉虫色(藍色)が見事です
・・・典型的なガンブルー

DSCF8087
彦兵衛「黒鯛用鈎6号」

フックサイズで#10程度
リマリック型でショートシャンク・ワイドゲープ

この鈎に似合う毛鉤型なら・・・

DSCF8089
彦兵衛「黒鯛用鈎6号」

岩魚用の典型
黒絹太胴の白斑入り黒蓑毛
補強も兼ねての花入と胴巻き

DSCF8090
彦兵衛「黒鯛用鈎6号」

太胴に対して蓑毛は薄巻き
・・・沈み込み優先

DSCF8091
彦兵衛「黒鯛用鈎6号」

他にも色々・・・

雌雉の蓑毛にゼンマイ胴

DSCF8093
彦兵衛「黒鯛用鈎6号」

山岳渓流用毛鉤の代表格

蓑毛の荒巻
・・・羽根軸の保護としての山繭胴

DSCF8095
彦兵衛「黒鯛用鈎6号」

チモト部分のヘビクチは補強済

DSCF8096
彦兵衛「黒鯛用鈎6号」

見慣れた毛鉤型ですけど
骨太な鈎の存在感が堪りません
それとも
優美な曲線を形造るハッキリとした峰となれば
昔のフェラーリの様な造形美とは言い過ぎでしょうか(笑)

和式毛鉤の鈎型各種

和式毛鉤の鈎型各種
・・・日本の鈎なら製造法から「針型」でしょうけど

元々は毛鉤用の針は有りませんし餌針からの転用は
使う魚と使い方に釣り場と個人の思惑が入ります
各人各様の好みまで入りますからそれこそ様々
地方色溢れる各地の毛鉤もその元となるのは
その様々な鈎型が有ればこそ・・・
一般的な掛かりの「袖型」に喰わせの「狐型」から
「丸袖型」とか「大輪(おおわ)型」
飛騨毛鉤で使われた「角形」
・・・旧い形の海津鈎にも似ています

袖型

DSCF8059
袖型

狐型&マス針

DSCF8058 (2)
狐型 マス針

マス針は太軸の鮎掛け針でしょうか?

DSCF8057

丸袖と大輪(おおわ)

DSCF8062
丸袖と大輪

新大輪

DSCF8065
新大輪

大輪は細身の伊勢尼?

DSCF8063
大輪と丸袖

伊勢尼とお気に入り

DSCF8069
伊勢尼と改良スレ

袖型でも優美さ溢れる「秋田袖」に
関東らしい小股の切れ上がった「東京袖」
秋田袖と姿は似ても針先が外向きらしい「都袖」
・・・各製造メーカーで違いが有ります

DSCF8066
秋田袖と東京袖

秋田袖でも、各メーカーで違いが有りますし・・・(笑)

DSCF8068
都袖と秋田袖

「都袖」と「秋田袖」・・・こちらは余り違いを感じませんでした(笑)

DSCF8067
都袖と秋田袖

・・・中には都袖名で東京袖も

DSCF8073
都袖?

狐型も「東京狐」に「秋田狐」
・・・総じて秋田となれば東京より細身で軸長が長め
秋山郷毛鉤となればハリヨシ製造「軽井沢狐」
ガマカツの旧「東京狐」も似ていますが
袖型と同じく秋田よりも軸長が少し短めの点が違います

軽井沢狐と旧い海津鈎

DSCF8060
軽井沢狐と旧い海津鈎

丸セイゴ

DSCF8061
丸セイゴ

伊勢尼と海津鈎

DSCF8072
伊勢尼と海津鈎

「マス鈎」から「鮎掛け針」も、となれば・・・(笑)
各地域で使われていた毛鉤には釣り方を含め
それに見合った地方色豊かな「鈎型」が伴います

昔の「ハス毛鉤」やら「ヤマベ毛鉤」等には
顧客の求めに応じて「角・丸・狐」を巻き分けていました
サイズは勿論、別誂えで金針やら金玉、赤玉に先玉等
バーブの有り無しよりも毛鉤には大事な話かなと

今の自分の好みとなれば「スレ針は彦兵衛針」と謳われた
彦兵衛針の「改良ヘラスレ針」の6号~4号
・・・(フライフックサイズで凡そ#12~16程度)

DSCF8071
彦兵衛 ヘラスレ針

現行品で似ているとなれば

DSCF8055
オーナー社 スーパー山女魚

オーナー社 スーパー山女魚

DSCF8056
オーナー社 スーパー山女魚

バイスに挟むと材質の違いを音で感じます

菱明期のテンカラ釣りは「マスタッド鈎」が推奨銘柄
当時の流行りかもしれませんが今なら選択肢は様々

竿扱いも両手使いの「廻し振り」から片手の「飛ばし」
全てを含めたはずの「テンカラ釣り」が旧来の「毛鉤釣り」を否定する
そんな自由度の無い釣り方は、毛鉤に使う「鈎型」からも感じます
万能小物釣りには袖、万能大物釣りには海津・・・
深山の岩魚は研ぎ直しが効く太軸の海津鈎
里山の山女魚は掛かり優先の細軸の袖型とは言われますが
各人各様の「毛鉤釣り」なら鈎型だけでも楽しめます
対して新しい釣り方の「テンカラ釣り」は最新鋭のマスタッド鈎
地方色豊かな「毛鉤釣り」から画一的な「テンカラ釣り」の始まり
既存の優れた釣針も良いでしょうが忘れられた「鈎型」は
見ているだけでも感じる処が有りますし
それを使って「毛鉤」を巻く愉しみは堪りません

大岩魚用には海津鈎とは違う「黒鯛鈎」を使い
山女魚には「鮎掛け針」を使ってみたり・・・

DSCF8075
彦兵衛針 黒鯛鈎他

飛騨毛鉤には丹吉鉤「アメゴ型」でしょうが
その角形針の欠点をこのチヌ針なら・・・(笑)

でも、万能型とすれば彦兵衛針の「改良ヘラ」
今でも同じ鈎型は出ていますが違いが有ります
ほんの僅かな違いですが差が出るのも不思議なものです

フライフックも様々な鈎型が有りますが
それ以上に種類豊富が日本の餌針です

TMC400Tなら新ヘラ鮒オカユ鉤とか・・・(笑)

DSCF8076
新ヘラ鮒オカユ鉤

勿論、餌針は使う餌に合わせての針形ですが
それの針型に合わせた毛鉤巻きも愉しい

重兵衛「新アマゴ」とオーナー社「吉村アマゴ」

DSCF8070
重兵衛「新アマゴ」&オーナー社「吉村アマゴ」

今回は鈎型の違いを見て貰う為に同じパターンですが

秋田袖の長身で細目に合わせて・・・「石楠花パターン」

DSCF8078
秋田袖

鮎掛け針なら・・・「乾毛鉤」

DSCF8079
鮎掛け針