伝統的な手道具について

伝統的な手道具について

囲炉裏と火鉢と炬燵に七輪と竃の生活・・・完全な番外編です

仕事と生活で数多くの打ち刃物を使っていますが洋斧と和斧に絡み、この頃気に成る事が多々有りまして

打ち刃物・・・

打ち刃物

薪割り用に洋斧も増えて、今でも風呂は薪で焚いています

薪割りに使う斧について薪ストーブ屋さんの各ブログを拝見すると古来から針葉樹を薪に使用しそれに特化したのが和斧であるとした話が数多く見受けられます

各地で斧の名称は違いが有りますとしながら伐採用や根切り用の斧を薪割り用と説明される方が多いのも気になりますしそれ以上に「斫り用」迄・・・

和毛鉤の話にも似た商業ベースの胡散臭さが其処にも有りました

何処かで示し合わせたように共通した説明も不思議です

そもそもクヌギやコナラ等の雑木の枝が主力では無かったのかと・・・

そもそも幹を伐るよりは枝を利用した方が生産性も高く管理も容易・・・

建築資材となる様な針葉樹を玉切りにしてそれを和斧で薪作り?

・・・そんな贅沢は出来なかった

長野市辺りの平場でも竈の煮炊き用に近辺の山に財産区を持ち柴刈りやら、炭焼き職人に財産区内の雑木管理(伐採)を兼ねて委ねたりと薪割りを各戸で行える程の針葉樹生産は近年の林野庁管轄の植林計画の賜物のはず・・・

結果的に良かったのか悪かったのかはさておきます

我が家でも1960年代迄は竈でご飯を炊いていましたし、風呂は豆殻で焚き付けて桑の枝、後年は林檎の剪定枝を主に使っておりました

豆殻と言っても大豆を収穫した残りですから小枝程も有り、火力はそれ以上有ります

広葉樹と違い針葉樹はヤニも多く燃やせば煙に煤でそれこそ油地獄ですからその点でも出来れば針葉樹は避けたいところですし常用ともなれば煙突掃除が頻繁になり過ぎてそれこそ大変な目に合います・・・

そもそもストーブが使われた時代と和斧の時代は違い過ぎます

それよりも日本は薪の文化よりは炭の文化ではと思います

本来は「囲炉裏と火鉢と炬燵に七輪と竃」です

囲炉裏と今風枠付き火鉢の違いを説明せず十把一絡げの商業ベースに悪意すら感じてしまうのと同じです

同じく洋斧と和斧についても不思議な説明が・・・(笑)

結局のところ、実生活で使わずに本からの知識だけで田舎暮らしを解説するから何処も似た様な説明と使う道具名すら十把一絡げの商業ベースは古式だとか伝統毛鉤の説明と類似して気持ち悪さすら感じてしまいます

玉切りにされた素直な素性の販売用なら針葉樹でも広葉樹でも和斧でも洋斧でも不便無く自在に割れます・・・(笑)

捩じれに枝や瘤が有るからこそ製材に廻せず薪や炭に利用されていたもの

流行りに乗じた一律の情報は同調圧力も伴って昔の生活すら捻じ曲げます

同じく斧よりも実用品の「鉈」解説も不思議な話が・・・

そこには斧と鉈の違いも判らない笑い話も豊富です

一般的に「登り鎌」とか「鉈鎌」と呼ばれるもの

・・・登り鎌

登り鎌

枝打ち用と解説されやすいですがあくまでも鎌の強化版

登り鎌

植林された木々を守るため纏いつく蔦蔓を切り下草を払う物

此の頃は「ヘクソカズラ」とか「カラスウリ」に「アレチウリ」等の名前からして雑草らしい蔓性植物が増えだしたお陰で無くてはならない物になりました

混同されるのが「ツル切り鉈」又は「ウナギ鉈」・・・こちらは本来の薮払いに近い

・・・石付き鉈 両刃

石付き鉈(両刃)

伐採されて地面に落とした大枝から小枝を払い拵える物

石付き鉈

薄刃で両刃と厚刃で片刃が有り各々の使用法が違うし好みも有りますが下枝打ちなら越前型のカーブした片刃の方が使い易く、仕上りも綺麗と思います

・・・越前型 海老鉈 片刃(大中小)

海老鉈 (大中小)

裏面・・・片刃

海老鉈(大中小)

先端の石付きの形にも地方色が有ります

・・・一般的な「片刃鉈」と「両刃鉈」

両刃と片刃

素早く拵えるには両刃が適していますが鋭さでは片刃、石付きも刃の保護は勿論ですがそこを使って、切った小枝を片付けるのに意外と重宝します

一般的に越前型は厚みが有り重く土佐型は薄刃で軽量

・・・小径薪割り用鉈

小径薪割り用鉈

木口に当てて別の材で刃の背中を叩き、割る

・・・二丁差し

二丁差し

鋸と鉈のセット

二丁差し

・・・手斧

手斧

刃の頭に三本線と四本線の刻みが有り三本は「御神酒」四本は「地・水・火・風」を表す

櫃は台形の「信州型」、細引きを使った「刃沓」は自作

手斧 信州型櫃

柄と刃の接合部「櫃」にも地方色が有ります

「刃沓」  手斧

・・・今は斧で伐採しないので「お守り」代わり

四隅に塩、日が出る前に根元にお酒とか地域色よりは個々のやり方?

自宅の木は自身で伐採せずに他人にお願いするとか

庭の古木には尚更、感謝を込めてとか・・・

縁起なのか厄払いなのかと解釈も様々・・・

ハスクバーナの斧、スウェーデン鋼の塊、四種

ハスクバーナの斧、スウェーデン鋼の塊、四種

揃えて見たものの使うのは「薪割り用」の二種だけ

ハスクバーナの斧、スウェーデン鋼の塊、四種

万能型は却って使えないし手斧なら和斧の方が使い勝手が良いし

和斧での巻き割りは垂直に立てた木口に振り下ろすよりも横に寝かせた幹に打ち込んだ方が仕事が早いかと・・・

・・・斧頭の重さで楔の様に割るのが洋斧で柄長の長さを利用して打ち刃物独特の切れ味で切り裂くのが和斧の真骨頂かと思います

販売されている素性の良い真っ直ぐな薪用玉切りならどの様にしても・・・(笑)

新月伐採ならいざ知らず水を含んだ槐の大木ともなればチェーンソーの刃の動きに合わせ水が迸るし、玉切りにした小口はゴムタイヤの様に斧を弾きます

方や林檎の40年生ともなれば太さもさることながら柔らかい材質が打ち込んだ斧を咥えて離しませんから却って乾燥させた方が割れます

割るには伐採直後が良いとか二・三時間後が一番とかの解説も聞きますが目廻りとか芯割れが有ってもなかなか難しいのが自然木の薪割りです・・・(笑)

伐採用和斧にも広葉樹用に針葉樹用と使い分けていましたし柄についても真っ直ぐとされやすいですが意外と打圧を軽減するための工夫は・・・(笑)

いずれにしても流行りに乗った実生活を伴わない商業ベースの情報はコピペされたように一律過ぎるのも不思議な話ですし斧よりは大鋸が伐採には最適

林檎農家ですからこの程度の手道具ですが林業家ともなれば納屋には手道具がそれこそ目一杯詰め込まれています(笑)

付記

ウェストベルトに付けるロッドホルダー兼プライヤーホルダーがこの手道具の持ち運びに便利です

ロッドホルダー兼プライヤーホルダー

・・・本来の釣りのブログに近づける為の一つの策です(笑)

以下爺の戯言 —————————————————–

手道具としての鉈の数々は有れど、作業が有ってこその様々な形

定番なら片刃の厚めで刃長が165㎜程度もあればそれこそ万能型

薄刃も有れば厚みは有ってもザグリの様な大型の「樋」を持つ軽量型に本来の厚みそのままな無骨其の物の鉈も必要に応じて有る・・・手軽さよりも却って重さは切れ味に役立つ

昔の鉈や斧に鉞がコレクション化しそれに応じて形だけ真似た物や本来の名前を客受けが良い様に狩猟型○○鉈としているようなメーカー・・・(笑)

各地域に根付いた野鍛冶の打ち刃物は形も違えば刃の付け角度に柄とのバランスまでその地域の仕事に合わせ使う人に合わせ残って来たもの

農作業の手道具である「鎌」とか「鍬」とかは鉈以上に千差万別では有るけれどそれもその土地の土に合わせ使い手に合わせ仕事に合わせた物・・・

商業ベースの伝統毛鉤にも似てそれが本来の機能を持っているのかとか何故その名称をわざわざ付けるのかとか、違和感を感じてしまう事が多くなったと思う

素材からしても、鋼として使われる安来鋼の「青紙」や「白紙」であっても打ち手に応じて切れ味と持ちに研ぎ味まで違う(優秀な鋼材過ぎて作り手云々では無いのが寂しい処ですけどね)

手道具としての打ち刃物を見ているとどうしても今の「和式毛鉤」の有様と重なって見えてしまうようで・・・

「鉈」も使い手に合わせ、仕事に合わせ、対象物に合わせ様々な形が各地域に根付いた様に、地域に伝わる「和式毛鉤」も形だけでは・・・(笑)

チェンソーも仕事に応じて・・・スチール四種

スチール チェンソー

バーの長さが35~50㎝で5㎝刻みの四種

スチール 四種

一番古い STIHL 011AVT( 40.8cc)4.3㎏(トップハンドル)は木の上での取り回しが長所

お手軽さならSTIHL MS211CーBE(35.2cc)4.3㎏ スターター・ロープも軽いしソーチェーンの張り調整も楽なのでホントにノコギリ代わり

一日中、チェンソーを使うならSTIHL MS260(50.2㏄)4.9㎏ 45cmのバーでも軽い 

太い立木ならSTIHL MS390(64.1cc)5.9kgの出番、50㎝のバーと大排気量のトルクが助かるけれど、一日中使うには重すぎます

特殊工具が無ければ整備もままならない最新型はプロ専用でしょうが昔乍らのキャブ式なら手軽にメンテナンス作業も出来るし使い勝手も却って安心

趣味半分に道具道楽半分の果樹園作業では有りますがMS211C以外はどれも原付バイク並みのエンジン付き刃物を振り回すのですからその怖さは身に染みていますし、たとえカジュアルチェンソーとされるMS211Cであってもソーチェーンの怖さは同じです(白蝋病が問題になった当時の国産チェンソーは防振構造はおろかブレーキさえ備わっていないのが普通でしたから、其の所為だけとは言い切れませんが、知人に左太股を裂き切った方が居られ、見舞いで見せてもらった傷跡は・・・、自身も梯子と枝に挟まれ、011AVTを握りながら頭を下に3m程ずり落ちましたがブレーキが効いて助かりました)・・・チェンソーの売り文句に有る、カジュアルとか、レジャー用とか、其の言葉自体に怖さを感じます

冬場仕事の伐採作業に向けて、暖かい内にソーチェーンの研ぎと試運転、エンジンは付いてはいても、これも手のかかる手道具の一つ・・・

ソーチェーンの長さ5㎝の違いとか、ボディ重量の100gの違いとかで全くの別物でもその違いが判らなければどれもこれもがオレンジ色のチェンソー・・・(笑)

昨今の流れは小型2stエンジン(30㏄前後)ならエンジンよりバッテリー式が主流、静かで軽量、振動も少なく管理も簡単

12vから14.4v、定番の18vに36v、今は40vが台頭して最早、2st小型エンジンそのものがバイク並みに過去の物になりそうです

どちらにしても所詮は機械物、メンテナンス作業しながらでも何時かは壊れますし部品供給が終われば機械其の物の寿命でなくても使えなくなります

小径薪割り用鉈に残る焼き印「庄」の文字、 高祖父(ひいひい爺さん)の「庄之助」の物、百年以上前でも研げば今でも使えます・・・(笑)

却って昔乍らの手打ち刃物が手道具として再認識されつつあるのが毛鉤とフライの世界と同様に見えてもいます

先人の言葉「泣く程研げば笑う程切れる]とか「研げば研ぐ程、強くなる」とか言われておりますが、砥石の研面を整えて刃物に合った砥石の研ぎ音程、気持ちの良い物は有りません

悲しいかな011AVTとMS390はマニュアルすら在りませんでした、付いてきた取扱説明書があるから別段の問題も有りませんが20年前の011AVTは仕方ないにせよそれよりも高年式のMS390が無いのは企業姿勢としてどうかなと思います。キャブのダイヤフラムは互換品も有りますが燃料パイプやチェーンソーオイル用パイプにインレット関係は専用部品が無ければ動けません。経年劣化が必ずある消耗部品も供給終了、プロ用として耐久性が高いと謳ってみたところでそのエンジンは良いかもしれないけど供給するゴムにヒビが入れば其の機械は終わり、ハスクみたいに汎用パイプが使えるなら(エアークリナーは手に入りませんでしたけど)良いのになと思います。011AVTとかの0番台は汎用パイプが使えますけどね(笑)

以下 スチールの公式ホームページから備忘録として

各地に根付いていただろう「伝統毛鉤」とか「伝承毛鉤」とかと共通するような話が打ち刃物の世界でも有りました

段巻き毛鉤

段巻き毛鉤
・・・レネゲイド・フライでは有りません

蚊頭(盛岡毛鉤)とかハス毛鉤に
真田毛鉤とかの古いパターンでも
この段巻き毛鉤が有りますがこの時期ならではの
段巻き毛鉤を蓑毛の質(腰の強さ)を合わせて・・・

テンカラなら竿先を上げて毛鉤を水面に絡め
蚊頭釣りなら段巻きの蓑毛が水流に逆らう様に
流すのが基本でも
針素に錘を付けての脈釣りの餌代わりまでと
使い方を選ばない万能型毛鉤では有ります

段巻き毛鉤

DSCF8127
段巻き毛鉤

鉤   鮎掛け針 7.5号
花入  蛍光スレッド(ケイムラ先玉?)
先巻  黒絹糸
中巻  黒蓑毛に朱絹糸
蓑毛  黒

巻姿は同じでも青黒い大場所や重い流れ用に
錘代わりの海釣り用鈎に変えて・・・

DSCF8128
段巻き毛鉤

どちらも蓑毛の質はこの時期ならではの硬め
メッツのコックネックの様なファイバーが太く
テーパーがきつめの物が使い易いです
沈めるならファイバーは細く疎らで
テーパーが緩やかなものが適材適所・・・

蓑毛の硬軟の違い

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蓑毛の硬軟の違い

水流の抵抗を受ける蓑毛としなやかに受ける蓑毛

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段巻き毛鉤

黒部毛鉤で見られるような、巻姿は同じでも
各人の釣り方に合わせた蓑毛の選択は有りました
硬めの羽根を万人が手に入れられたかは別の問題ですが
同型での尾附き毛鉤は
手に入れられた羽根の柔らかい質を補う為かもしれません
硬い羽根の使い方も軸長一杯に荒巻した蓑毛を上側にしごき
・・・少なくても3回転半以上に蓑毛を荒巻にする
フライで言うハンプバックにして使っていました
針先に係る蓑毛は掛かりが悪くなるとも聞いておりました
敢えて段巻きにした毛鉤の針先側の蓑毛を切り取り
針先を出した方が掛かりが良いとも聞いておりました
・・・段巻き毛鉤の記事に概出済みです
信州と飛騨の県境に位置する奥山の渓谷で使われていた
黒部毛鉤とか飛騨毛鉤であっても蓑毛の質には
各人の拘りが強く有ったのは興味深い点です

以下爺の戯言 —————————–

「蓑毛は真黒の矮鶏に限る」は
その奥山を跋扈した職漁師が残した言葉です
ここまでは本にも掲載されていますが
吟味されたその蓑毛の硬軟の説明や
その蓑毛で巻かれた毛鉤の使い方までを
書いた本には、今まで出合っておりません
数の多さを「川の蛆」と形容された源流域の岩魚でも
職漁の糧とするには使う毛鉤も素材から吟味され
職漁師の間で毛鉤の優劣を競い合ったのも面白い点です
どんな毛鉤でも人里離れた岩魚なら釣れるでしょうが
数と形を揃えるとなればそれなりの毛鉤は必要です
・・・手道具としての職漁師の毛鉤です
段巻き毛鉤をレネゲイド・フライと類似と言い表すのも
そのレネゲイド・フライ自体を知らなければ・・・と同じく
使い方まで考慮しなければ形は、似ているだけかもしれません

形だけを伝統毛鉤と謳う近頃の毛鉤の商品説明で
蓑毛の質を言い表すらしい「雄鶏毛鉤」と「雌鶏毛鉤」?
そもそも敢えて雌鶏の蓑毛を使った和式毛鉤を知りません
水切れが悪く脆い雌鶏の羽根よりは雌雉の羽根でしょうし
それ以外にも丈夫で柔らかい蓑毛は豊富です・・・(笑)