クリスタル鈎に英国規格のテグス・・・
ハイカラ好きな旧日本製らしい名前から、海用錫鉤やその頃は純金を鍍金した金針かなと思っていたら
クリスタル鉤・・・
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テグスについて・・・
輸出用毛鉤やフライ製作の最終期(1960年代初頭)に作られていたフライはマスタッド針に確りとしたレシピに則って作られていました・・・釣本で良く言われる「土産物用の安物」とは一線を画してもいたのは良く判ります
年少期では有りましたがこの制作現場にいました・・・
文献で判る和式毛鉤の変遷の概略は以前記載した 「蠅頭」1678年 巻針以前の形 ・・・ハス毛鉤に残る形式 「櫻針」1723年「何羨録」 ・・・縫針を曲げて手製の釣針を作るのが一般に普及 「巻針」1756年 諏訪湖周辺の巻針 ・・・日本で初めて鶏羽根を巻いた針と記述 「菜種鈎」1818~1829年頃 ・・・金玉を付けた黄毛の巻針 「漁猟手引」1834年 巻針 ・・・文献に初出の毛鉤図「蜂頭」等が掲載される
その後の明治時代初期 中村利吉氏が和式毛鉤と西洋毛鉤の融合を計り釣具製造と輸出を行う エピソード・・・ その頃は通用していた天保銭を叩いてルアーを作る 日光辺りの鱒釣りはこの方が開拓したらしいとも ・・・幸田露伴「江戸前の釣り」より
日本古来の毛鉤となると京都の蠅頭に辿り着く その頃はまだ順毛鉤式に羽根のファイバーを縛り付ける形式 ポルトガルより釣針27㎏輸入(1636年?)その後も大量に輸入される 40年ほど後、蠅頭(hae-gasira)京都の伊右衛門が販売 1818~1829年頃に 京都三条河原町東・みすや針の永原屋茂八が菜種鈎(natane-bari)を販売 「菜種鈎」は黄色の小毛を鈎軸に巻き付け鈎頭に金色の玉 (文献では黄色でもその系譜で残るハヤ毛鉤はペールイエローの蜉蝣色)
・・・鮎毛鉤の始まり
1887年に銀座の針・釣針問屋「みす屋針」の当主 中村利吉氏が 初見1881年のトーマス・B・グラバー氏が使用していた ハーディー社製フライ(鱒鈎)を再度目にした時から日本の毛鉤作りが始まる 鮎の蚊針を作り続けてきた技術とフライの混交を日本の渓魚用に試行錯誤し 国内・国外の展覧会で大成功を収める程の成果を得る ・・・(これが幻とされる日光毛鉤の金胡麻・銀胡麻毛鉤の正体)
・・・中村利吉氏 大英帝国のコモンディレイ・ペンネル氏からも称賛される程の 釣具(鮒竿)を初めて国外展覧会に出品された程の有識者 フライと毛鉤製造だけでなくルアーフィッシングも含む ・・・コモンディレイ・ペンネル氏 先紹介済みのペンネル式フライフック創始者で釣りの著作も多い 英国釣りクラブの重鎮 大英帝国の皇族御用の主漁官 ・・・幸田露伴「江戸前釣りの世界」より
先にも述べたように明治時代は全国博覧会が盛んに行われていた時期 鮎毛鉤の伝統とも結びつき毛鉤の製作が全国で行われる 国と言う組織と今後の方針自体が確立されていない明治政府は 極端な西洋信仰を生み出すことでその後の生末を求めるしかなかった状況
京毛鉤の伝統と結びつく鮎毛鉤とハーディー社製フライとの邂逅 岩魚と山女魚の食性に合わせフライから毛鉤へと変貌を遂げて 各地に根付いたものが今に伝わる伝承毛鉤 ・・・芹澤一洋氏「毛鉤とはなにか」
乱暴な文章の羅列で申し訳ありませんが業界筋の思惑から外れると以後無い物とされる風潮は今もそのまま、遡上鮎の食性を海生微生物に求め従来の鮎毛鉤研究を基に開発した鮎毛鉤もしかり、テンカラの代名詞ともされるほど有名になった逆さ毛鉤(本来は狭い範囲で使われていた地域色溢れる毛鉤)もしかり、今ともなれば各地に根付いた伝統毛鉤とされるおまけ付き、そもそも「テンカラ」の語源すら・・・(笑)
ペゾン&ミシェルはこの辺で・・・
スチールロッド全盛期のカタログ等・・・
ここに掲載したカタログは興味があるかもしれないと送って頂いたもの、そのお気持ちに三拝九拝 いたします
和式毛鉤にとっての一番は文献に多々出てくるその永原屋商品一覧表(凡そ100年程前のものですけどね)・・・(笑)
付記 —————————-
kebari and Mosca・・・2018年の記事から ・・・Mosca イタリア語・スペイン語で蠅の意
Itary Camiole flies 金色若しくは琥珀色に輝くビーズヘッドフライ
京の都で流行ったという「黄毛」に見えてしまう・・・
私にとってのテンカラ釣りはこの動画そのもの・・・ラインの扱いもトバシとは違う廻し振りが山岳渓流の基本、伴う竿捌き、ポイントでの立ち位置、移動中のラインの扱いに釣り場も同じ
日本でのテンカラ釣り動画では余り無いのも皮肉なこと・・・今風テンカラ竿が販売される前は3.3mや4.5mの餌竿を使うのが毛鉤釣りの常套手段
川漁師の毛鉤釣りと山漁師の毛鉤釣りは釣場環境が違うから違って当然では有るけれどこれが本来の山岳渓流での「毛鉤釣り」・・・(笑)