丈夫な毛鉤

丈夫なのが「毛鉤」
・・・形だけでない「フライ」も同じ

この頃、お勧め「毛鉤」はないかと海外から聞かれる
パターンとか使い方なら説明も出来るけれど
それ以前の問題で毛鉤自体が壊れると言われる
日本製と言えど脆さは同じらしく
彼の地で作られたショップオリジナルの方がマシとも聞く
優秀な(?)の日本製釣鈎でも30匹も釣れば掛かりが悪くなる
50匹もとなれば目で見て判る程に針先は丸くなる
それでも本来の作りの和式毛鉤なら針先を研げば使えるはず
状況にもあるだろうがまさか数匹釣っただけでとは
・・・鈎も悪ければ毛鉤の巻きも悪すぎる

毛鉤もフライも同じとは思うけれど基本は丈夫な事
古いホイットレーの中に有った同じ位に古いフライ達
絹のスレッドに確りとワックスを効かせてあるお陰で
鈎とマテリアルが一体化してカッターの刃でも
受け付けない程の堅牢さを持っている
1950年代のホイットレーに入っていたフライは
使われている鉤等から見ても優に60年以上前の品
金属製の各ティンセルは今も輝きが失われていない

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5~60年前のフライ

シートラウト・フライ?
古いフライだから虫に食われた物もあるけれど
見直す度に色々な気付きの点が出てくるのも興味深い

同じ時期の和式毛鉤の場合はどうだろう

・・・魚をお客に供じていた「職漁師毛鉤」

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職漁師毛鉤

芋虫毛鉤の類かもしれないが壊れない道具の姿
・・・壊れないための秘訣が詰っている(笑)

今の様なバイス等では無く簡単な道具や手で持って縛られた物
この点では西洋毛鉤もクランプ程度や手で持って縛られている
フェザーウィング・フルドレスサーモンフライも同じ

不格好な和式毛鉤だからどうこうの問題でも無い
どうやら単純な構造だから和式毛鉤は丈夫とも思えない
絹糸のフライと違い地方の毛鉤は木綿糸がほとんど
シケ糸で巻かれる市販された鮎毛鉤やハス毛鉤であっても
(髪の毛より細いシケ糸は撚られていない蚕の単糸の数本)
弱点を先玉と金玉で守られた毛鉤自体は丈夫そのもの
華奢に見えても釣れたからといって壊れる事も無い
今の流行りに乗って作られたテンカラ毛鉤はどうだろう?
形だけ真似た毛鉤や作り方自体を理解されてもいない毛鉤
鈎自体も今の流行りに乗った細軸が数多い・・・
本来のテンカラ毛鉤なら、在所の物なら特にだけれど
物理的にも想定以上に耐久性の高いものがほとんど
今風の細軸で硬いだけの鈎は餌針にも使わない
・・・折れる釣針なんぞ以ての外だった筈
古来の毛鉤釣りでも
乾毛鉤として鮎掛け針に巻かれた毛鉤も有るが
対象魚のサイズと渓の状況に合わせた毛鉤
・・・鮎掛け針自体が太さも強度も靭性も今の物と違う
道具として使われたと説明する「毛鉤」なら
今の様に簡単に壊れてしまう形だけの「毛鉤」は如何なものか
SNSで瞬時に届く壊れた「和製毛鉤」の姿は情けないだけ
ラインと竿しか売物にしない”TENKARA”の弊害かもしれない
対象魚のサイズが違い過ぎるとしても
釣り上げる竿とラインが有るならそれに応じた「毛鉤」も有る
引き合いに出される「西洋毛鉤」はそれに応じた強度が有る
形だけの「剣羽根毛鉤」の脆さを見限り
丈夫な「剣羽根毛鉤」の巻き方を紹介した途端に
そのまま真似て後追い掲載し「綺麗に巻ける」としたような
そんな頓珍漢を「テンカラ師」としている釣り業界が
C&Rと気取ってはみても細軸は魚の口を裂く原因
そんな方にカエシがどうのバーブがと、説かれてみても
「ご自分の釣りをお楽しみください」としか返しようもない
肩書を背負った有名処に多い気がするのは何故だろう?
それとも
釣業界は仲良しグループ「当たらず障らず邪魔をせず」
それこそ
「テンカラ師」とは真逆の存在としか思えない(笑)

英国伝統のドライフライのウィングはシングルポスト
それを美しく(売れる?)デバイデットしたV字ウィングは
渓魚を愛でる釣人の憧れを形にしたものと感じている
「和式毛鉤」も本来は同じもの
丈夫は道具の基本でも渓魚に対する矜持が有るからこそ
精一杯の気持ちを込めて巻き上げる物
それは日本の伝統手道具と同じ
刃付けも違えば角度も違うし使い手に合わせ柄の長さも違う

丈夫な毛鉤” への4件のフィードバック

  1. どれだけ釣れる毛バリやフライでも、作るのにとんでもなく複雑だったり、一匹釣ったら壊れてしまうようでは道具としては失格ですよね。
    道具は何でもシンプルで丈夫なのが逸品です(笑)

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    1. 鮎たわけ様 コメントをありがとうございます。
      今回は失礼いたしました、然る有名人ともう少しマシな毛鉤談義を期待していたらカエシの有る無しだけの話になってしまう寂しさでついつい書きなぐってしまいました(笑)海外の方からすれば和式毛鉤情報の少ない中で信じていた和製毛鉤の体たらく、自己崩壊に近い物があるようです。一例として、金玉で補強していると説明しても、今までは重量のあるゴールドビーズ毛鉤としか説明されていませんから理解の範囲外になります。釣り云々より英語に堪能な方が流行りに乗ってFF釣法を紹介された時と未だに状況がとても良く似ています。勢力争い云々も含めまっぴらごめん、シンプルが一番です。・・・ちょっかい出しているのはこちらかもしれませんがその点を含めて理解されている方が忙しい中、長野にご訪問頂く機会に恵まれたものですから尚更でした(笑)

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  2. 壊れにくい毛鉤や道具は昔は当たり前だった時代もあったのですが。欠陥品すれすれの強度の商品は私の場合使わないです。今のハリを見ていますと細軸にしたりコーティングがされてあったりと刺さりやすさの工夫は素晴らしいです。しかしこの10年先にどんなハリが販売されているのか。メーカーさんもネタ切れだと思います。メーカーさんが売りたい気持ちはよくわかるのですが。

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    1. おじゃまる様 コメントをありがとうございます
      工業デザインは兎も角として並外れた耐久性が日本製品の特長だったのは過去の話かなと場違いでは有りますが農業機械を修理していて思います。当たり障りのない今の鈎に比べ、古ーい鈎を見てみると中にはツボを押さえて唸らせる様な逸品が隠れていたりします。ブームに乗った百花繚乱期と違いコストを考えれば、今なら到底無理は承知していても趣味の品物ですから機能優先だけよりも、泣かせるような所が有れば毛鉤やフライ用なら良いかもしれません。

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