伝承毛鉤の意味

伝承毛鉤の意味

伝承とは集団の中で伝え聞いた事を次に伝える事
英語ーfolklore
仏語ーtradition populaire

伝承は地域的特性と思い易いけれど他地域からもたらされた物も多い

仕事柄、各地を廻っていると共有情報が多いのに気が付く
「田舎の学問より京の昼寝」と言われるらしいが
それは田舎の通信網の広さを知らないお町の方の言葉
たった半日、田畑に出ているだけでこの周辺の話は伝わる
一日ともなればその広さと細かさは地方新聞紙以上にもなる
好きな釣りの話にでもなれば新潟・群馬・山梨程度は普通

爺様達の現役時代ともなると話の中に
ダム建設や道路網整備等のインフラ整備で来られた方も加わる
高度成長期の中央を介さない地方から地方への文化伝承時代
山形・秋田・宮城等ほぼ東北甲信越一帯から
果ては進駐軍の楽しんだflyまでその範疇に含まれる
蛇の道は蛇では無いけれど口頭伝承の素晴らしさには恐れ入る
趣味の道は果てしが無いけれどもこの時代を経た爺様達の毛鉤
それを含めて伝え聞いたこちらにすれば毛鉤の地域特性に疑問も感じる

毛鉤は伝承よりは伝統(Tradition)に近いのではないかと・・・

「伝承が古くからのものをそのまま後世に伝えていくことであるのに対し、
伝統は同じ技術や材料を使いつつも新しいことに挑戦し革新していくもの」

毛鉤の話で侘び寂から大和比に伝承に伝統・・・(笑)

己が伝え聞いた伝承毛鉤を伝統毛鉤に昇華する愉しみ
それを具体化しているのが海外のtenkara愛好家と感じてしまう

不思議な4月陽気の天候で林檎の剪定作業に追われ
震える手では好きな毛鉤も巻けないと思いもかけない方向に流れる

伝承毛鉤なのか伝統毛鉤なのか

手前勝手は充分承知していても
地域に根付いた伝承毛鉤の基本を踏まえての伝統毛鉤は面白い
剣羽根に山繭の染色だけでなく今あるフライ材料の活用
それでも毛鉤とフライを並べると出て来る違い

伝承毛鉤に使われていたマテリアルの再発見
素材自体が持つ性質も素晴らしいけれど
素材の持つ特徴を如何に活用してきたかが伝承
それを今ある手段で更に活用することは伝統

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毛鉤もフライも美しい

毛鉤もフライも美しい

美しい羽根を絵筆代わりの絵画と同じ芸術品
大英帝国の繁栄を具現化したフルドレスフェザーウィングサーモンフライ
その基は実釣用サーモンフライなりウェットフライ

材料による差異はあっても魚を釣る以上に釣人が魅入られる毛鉤とフライ
魚を掛けるだけの物ならどちらもここまで拘る事も無い

国による風土と対象魚による違いがその後の展開の違い
日本の中部山岳地帯と渓相が全く同じとなれば
伊国のバルセジアーナの釣りと古来の毛鉤釣りは同じ釣り方
・・・同様なんてものでは無く全く同じ
日本も鮭釣りが認められていたならウェットフライの方向もあるだろう
鮎毛鉤をそのまま大型にするだけで鮭も釣れる
・・・同様なんてものでは無く全く同じ

周りの喧騒に巻きこまれずに自然の中で魚と対峙する
それが美しい毛鉤とフライなら至福の時間が訪れる

半年近い禁漁期間が有るからこそ毛鉤もフライも楽しみが極まる
雪降る静かな時間を過ごしていてもそこは川辺と同じ
道具を磨き手触りを愉しむのとは違い
思いを込める毛鉤とフライ作りはもっと渓に近い
蘇る愉しみと今期への期待感

シルクラインに竹竿すらトラディショナルフライを愉しむ為の道具
それが昔乍らの長竿ならゆったりとした美しいループを描く
トップガイドから滑り出るラインの感触はシルクラインならもっと五感に響く
グリップから感じるその手応えはもはや愉悦よりは快楽に近い

・・・快感 – Wikipediaより
脳科学的には、
報酬系における神経伝達物質を介した神経細胞間の活動で定義される
動物としての本能に根ざした行動は、
快感という報酬と不快感という罰によりコントロールされる

ここで書かれる不快感を魚が釣れない事と釣人がとらえれば
長い竹竿にシルクラインは快楽が不快感を優に上回る (笑)
よく言われる風に強いとか長持ちするとは別次元の快楽

テンカラ釣りにしても
渓流域での山女魚釣りは逆さ毛鉤でロングラインの線の釣り
方や
山岳渓流の岩魚釣りは僅小点に射込む釣り
木化け石化けでにじり寄り穴に潜む岩魚を掛ける
迸る水流に巻き起こされる風には昔乍らのテーパーライン

逆さ毛鉤にロングラインはブラインドフィッシングに近い
剣羽根毛鉤で射込む釣りはライズフィッシングさながら

どちらも付随するのは道具、対峙するのは毛鉤、主役は魚

剣羽根毛鉤

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剣羽根毛鉤

スタンダードドライフライ

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スタンダードドライフライ

毛鉤もフライも美しい

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毛鉤もフライも美しい

勿論、自画自賛の類いでは有りません (笑)

以下爺の戯言 ———————————————————-

近眼と老眼で今や単眼レンズの様な見え方
もしかすると魚眼に近づいているかもしれない

若い時に比べれば細かい所に目が届かない
それでも実釣用なら充分に役割は勤めてくれる
持って生まれた今一足りない性格は毛鉤とフライにも現れる (笑)

 

The Gentle Art of Swedish Death Cleaning

The Gentle Art of Swedish Death Cleaning
スウェーデン式 死の片付け

・・・物をあまりにため込むと、一つ一つの物を十分に味わうチャンスは二度と来ない
ほこりをかぶったままにしておいて死んでしまう
片付ける事で自分のすべての持ち物を一つ一つ順番に味わいその思い出を味わう・・・

生活必需品でも田舎家の農家で有るから農機具から道具・工具も多い
趣味のものともなればその田舎家からも溢れる程に有る

趣味の一つである毛鉤釣り
予備とかついで買いとかを含めると以後使わない物も溢れている
絶版品ともなれば貯めこむから却って多くなる
単品で片付けられるものはまだ良いかもしれないが
組み合わせて使う毛鉤&FLYのマテリアルともなれば思い出に浸るどころか溺れる
見送った先達の姿を思い起こせば静かに近づいている限界も判る

時間の掛かる雑多な品物の片づけを自分の死後に任せるよりは
自分で片付け始めた方が残される品物と家族の為にも最善の判断

爺様達と釣りをしてきているからそれに対する感謝と嬉しさも判るが
世話を焼かれずに自分の思いのまま気兼ねなく釣りをしたい

目ばかりでなく足腰の衰えが累加してきている今だからこそ
今は石のシャッポを被った爺様達の代りに
同じ好みの方に毛鉤を届けるのも片付けを愉しむ方法かもしれない
後10年位はこのままで釣りをしたい俗物でありながら
年初のお陰か夢の様な事を考える・・・

前世紀の遺物かもしれない毛鉤の置き土産では有りますが
釣行計画をお聞きしてグーグルアースで空からその渓流を楽しみ
そこの渓と対象魚に合わせた毛鉤を巻く
毛鉤を巻きながら遡行した渓と魚を再び味わえる自己満足の愉しみ
もしかすると禁断の果実の味わいかもしれない

老化防止に頭と手先の運動と他人様には嘯きながら
Swedish Death Cleaning・・・スウェーデン式 死の片付け

片付けだけでなく残されるであろうマテリアルの生かし方
tenkara-kebari・・・残された伝承の責も果たせる
このウェブサイトもその試みの一つ

アメリカ・カナダ・ニュージーランド・英国・中国
今回はスウェーデンからスペインまで
・・・楽しみが広がる

漸近自然 ======= ゆっくりと本意に近づく

I sympathized with the book of The Gentle Art of Swedish Death Cleaning

I have many kebari materials,
but I think most of them are unused
even if my fishing life is over

The kebari I will use in the future will be a little and I have it now

Kebari-tying is also my pleasure,
so I will continue tying in the future,
but can you tell me if there is a way to use that kebari

If that quantity is in the range that I can enjoy
but the quantity may be more than you imagine

以下爺の戯言 —————–

独断と偏見にまみれた稚拙な文章
判り切ったことをくどくどと述べながらも、この投稿で300回目

・・・エドワードグレイ氏の様にはとてもなれません

今後ともご笑覧よろしくお願いいたします

毛鉤釣りからテンカラ釣りへ Ⅰ 

先ずは爺の戯言から ———————-

昨今のFF業界の衰退(カモ発言)と海外でのtenkaraの動向・・・?
釣振興会が今や釣具振興会ではその存在意義も不思議?
害魚指定で今後が無いバス釣りで潤った釣具業界の次の金づるは?
暫く釣雑誌を見ていない間に色々とおかしな事になっていると思われます
そもそも釣り業界は不況でも却って安定していたはずが
お先棒担ぎの釣り雑誌も巻き込んで販売不振らしいのは自明の理
ウェブサイトの時代だからの言は自身への評価が過大すぎる
メーカー主導型釣具販売促進記事満載広告雑誌を誰が買うのでしょう

・・・FF釣法の衰退
種類の多い釣り方を型に嵌め込みそれを操作することで
利益を得るのが釣り商売の常道であっても
その役割を果たす旗振り役の選任の悪さと立役者不在
欲望に夢を与える水商売と同じ釣業界がそれを忘れている

・・・根っ子が抜けている
史実に残るフライパターンなら判り易い
日本の釣雑誌で掲載された全てのオリジナルとするパターン
そのほとんどが100年以上前の概出パターン

・・・最近の本末転倒の笑い話
鎖国時代の出島の様な存在のFF釣法釣雑誌に
クリンクハマータイプなりクリンクハマースペシャルが掲載された時
それ以前から有るクリンクハマーと何方が優れているとかの話でも無く
某パターンの真似と騒いだのは日本だけと記憶する
オストリッチハールも同じく100年以上前から・・・

・・・逆さ毛鉤も同じ
岐阜の益田川流域でしか使われていなかった特異な毛鉤
1959年の発行「渓流釣り」の毛鉤釣りで紹介されても
その時は本流用であるとか形が珍しがられた程度
1986年発行の「テンカラ正統逆さ毛バリ」で認知された後
富士流逆さ毛鉤で全国区という程度のまだ新しい毛鉤パターン

全国区になった富士流逆さ毛鉤

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富士流逆さ毛鉤 真似

それが今では各地に古くから伝わる伝承毛鉤として釣雑誌に紹介される
某氏の逆さ毛鉤ですら富士流の色違いでも古来からその地に伝わる伝承毛鉤らしい
・・・FLYでも忌み嫌われて蔑まれた手法
海外ではその某氏の名前が逆さ毛鉤のパターン名に擦り替わる不思議
解説者が海外では日本を代表する毛鉤釣り技術保持者になる不思議
今は仮面が剥がれたのかプレゼンターの位置に潜む
釣雑誌の自画自賛と同じく誰がそれを認めたのかも判らない
同様に立役者も釣具メーカーの後押しが無いと浮き沈みが激しい
現在ダイワが推奨するネオ・テンカラ釣りも
釣り雑誌で渓魚は0.2秒が大流行りの時代に堀江渓愚氏が提唱
フライライン仕様とFLYを使う事で受け入られずに終わる
これも
日本の渓魚はFF釣法では釣れないと真顔で釣雑誌が喧伝した時代
すぐに同じ出版社でFF釣法専用の本が創刊された落ちまで付ける

初代テンカラ釣り提唱者の各名士が石のシャッポを被りだすと
その下に潜んでいた魑魅魍魎が蠢き出す・・・

———————————- 以下 本題

毛鉤釣りからテンカラ釣りへ Ⅰ

戦後の復興期から落ち着きと先行きが明るくなった1950年代
手軽な娯楽として釣りがブームとなりました

その当時の時代的背景として
1953年に渓流魚の養殖技術が確立されて
それまで続けられた渓流魚の循環型職漁自体が終焉を迎えました

・・・循環型職漁とは
限りある渓流で漁を続けるために種沢を守り生育域拡大のため
釣り上げた魚を滝上は勿論のこと山すら越えて運ばれました
これが「岩魚、山を登る」と言われた由縁です
雪の有る時期であればその雪を使い仮死状態にした岩魚は
優に半日程度は生き残る強靭な生命力を持っています
新たな漁場は隠し沢として漁獲量の確保をしています

主を失った渓流は釣ブームの舞台として開放されたようなものです
その頃は各内水面漁協の渓魚の保護育成が今の様に機能できていませんし
数釣を目的とした釣り自慢の自称名人が跋扈し根絶やしにされた渓も出ました
魚籠一杯の木っ端山女魚を釣り雑誌がべた褒めして掲載するなど
当時の釣り雑誌は如何に効率良く数を釣るかが記事の主体です
その頃鮎釣りも盛んに喧伝されて地域の漁協も稼ぎ時でしたが
高度成長期を迎えて水質悪化が進みました
当初、尺鮎が釣れるとされて全国区入りした釣り場も
一日川に浸ると痒みが止まらなくなる様な水質の為に
旦那衆の今で言う所のゴルフ交際の様な存在の鮎釣りでしたが
徐々にこの辺では廃れていき今では行われていません
その為海釣りと山釣にはっきり分かれたのも仕方が有りません
山釣りに変更された方々も増えて第二期渓流釣りブームを迎えました
職漁師の釣り方である毛鉤釣りならもっと釣れるだろうと
毛鉤釣りに注目が集まりましたが
それを行っていた職漁師自身がその漁場に合わせての独自の釣り方ですし
巷に溢れた釣人達の山と魚に対しての礼儀も無く
山釣りへの矜持も持たない振舞いを見聞きしていましたから
易々と口を開くことはありません
大事にしている馴染みの漁場を釣り以上に荒らす人間に答えられますか?
その点は釣人として誰もが共感できることと思います
各地の手練れが大事な自分の持ち分を山荒らし相手に語る必要も有りません
伝承本に出てくる人物が客商売絡みになるのはそれも商売だからです
客商売絡みでもお客様相手のお付き合い程度で終わります
田舎の萬家なら何処でも売物の毛鉤は置いて有るのが普通ですが
売り物の毛鉤は自分と仲間達が使う毛鉤と同じで有る訳が無いのが当然です
垣間見の余所者は釣りに同行しても、売物の毛鉤を見ても本質は理解できません
本質を理解出来ないから門外不出とか謎とか幻で誤魔化すしかありません

・・・風土的背景として
良く聞く「山はみんなの物」・・・
釣りに関係する山は特にですが国有林は意外と少なく
殆どが個人の山の方が多いし地域で管理しているもの
そこに至る道路も個人で切り開かれた林道も多いし道普請は地域総出で行うもの
民有地だからこそスキー場開発や観光開発が出来るのです
スキー場で有名な斑尾高原は今でも地主が山のほとんどを所有しています
水源地も同じくその下の流域も川普請でそこの地域の力で守られています
志賀高原を乱開発と水源地汚染から守ったのは国でも県でも無く
地域組織の和合会の方々のお陰ですしそれが雑魚川が再生した最大の要因です
地域で川割り・山割りとして自前で管理したからこその背景です
お町の様に責任も含めて全て他人任せでは有りません
・・・考えの根本が違います

・・・意識的な違い
昨今のデジタル一眼レフカメラ流行りでの話
こちらにすれば砂利道でも車がすれ違えられる立派な生活道路
このど真ん中に三脚を立て5~6名程度の撮影会に出会う頻度の多さ
曲がりくねったカーブの先が見晴らしも良く却って多いの辛い
停めた車も端では無い中途半端な場所
都会程交通量はないけれどもそれでも地元にすれば生活道路
自然は皆の物だろうがそこは道路の上
レジャーシートの用意までには恐れ入る
経験を重ねたであろうご年配が多いのも常識の違い

・・・牧場への連絡道
遊歩道代りに使われているからか観光客も多い
でも表示してある看板は熊出没注意
それも丁寧に通る時は銅鑼を鳴らせと書いてある
これはシャレで立ててあるわけでは無い
れっきとした昔から有る熊の通り道
それも今、熊とすれ違ったばかりの小道
そこを犬と渓を釣り上がり帰り道に使う
確かにリードを附けていないこちらも悪いのだろうが
それを見咎めたご年配のご夫婦のダンナさん
奥さんが犬嫌いなのもこちらの犬が大型なのも合わせご立腹
でも今、貴方が安全なのもこの犬が熊を追い払ったから
しつけられた猟犬と野生の熊とどちらが怖いかは自明の理でも
お町の常識と山の常識は違うようだ

お町の常識と山の常識はさておいて
一方、仲間として認められれば何でも詳しく教えるのが伝承です
話す本人すらそれを伝承として伝え聞いた当人ですから自身の責でも有ります
(伝承とは伝え聞いた者が次の者に伝える事まで含まれます)
それは仲間としてお互いの安全と命と獲物を守る為です
それだからこそ山の獲物は頭割りが行われています

それ以前には紹介されていない剣羽根の巻き方やら剣羽根の下拵えに
釣雑誌に秘伝とされる位の記載しかない山繭胴を紹介できるか
後追い掲載された根っ子が抜けている記事なり話を見れば
却ってご理解できるかもしれません
剣羽根毛鉤の下拵えは頭を小さくする為では無く丈夫にするため
山繭を煮ずに解すのも濡れたら締まるその性質を生かして丈夫にするため
山繭胴とゼンマイ胴も下巻きに金糸銀糸を巻く事は
濡れたら透けるその素材の性質を生かす為
何より山繭胴は素材自体が水の中で輝く・・・
それは流れの速い山岳渓流で魚を誘う

今でも毛鉤釣りは金にならないから止めてくれと真顔で言った
釣具屋の店主の顔が浮かびます
外来のFF釣法ではない各地域に根付いた毛鉤釣りだからこそ
今の衰退したFF釣法なみに食い物にされなかったのですが
そんな毛鉤釣りがテンカラ釣りとなり海外で広まった途端
次の食い物にしようとする動きが見える様です

巷に溢れる「伝承-風-毛鉤」の風が付く
幻を売り文句とする正体不明の売り物の毛鉤
釣り雑誌まで合わせて喧伝する自称プロまで
伝承・幻・職漁師等の単語で誤魔化す有様は
宛ら今の釣り業界を映し出す鏡の様

以後、加筆修正を行いながら続きます

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毛鉤釣りからテンカラ釣りへ

・・・川立ちが川で果ても川は変わらず流れる・・・

蓑毛毛鉤 基本

蓑毛毛鉤 基本

毛鉤でもFLYでも巻き鈎の基本は同じ
毛鉤釣りの手練れも拘った蓑毛の質と毛色
valiant-fly なり Dr. Bagent Brown-flyと同様
違いはハックルの巻き量
スパイダーパターン同様にハックルで水面に高く浮かばせるのでは無く
使い手によりそのステージを自在に操るのが毛鉤
竿先を上げて浮かべるだけでなく水流に合わせ
水面を滑らせたり水面下を漂わせる
ドライフライの様に浮力の為に厚く巻けば用途が制限される

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蓑毛毛鉤 基本

シンプルな道具

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蓑毛毛鉤 基本

洗練され研ぎ澄まされた美しさ
使われることで尚更研ぎ澄まされる毛鉤
使い続ける事で強靭さと鋭さが増す
各地の名工の打ち刃物と同じ
・・・そんな毛鉤が巻ければと切に思う

自分が教わってきた各地の手練れ
必要はないかもしれないが
今ある材料と道具がその頃に有れば
どんな毛鉤を巻いたのだろうとも思う
そんな爺様達の要望に合わせて巻いた毛鉤
色々巻いたお陰で今も巻き続けている・・・

それはシンプル・フライフィッシングとして広まるtenkaraも同じ
FLYの基本的知識が有る彼の地で毛鉤がkebariになる楽しみ

実際に巻ける毛鉤
小賢しいだけで潔さの無い低下凡夫の毛鉤
・・・低下凡夫(teige-bonfu)は禿げたオジサンの意では有りません(笑)

以下 爺の戯言 —————————————–

侘(Wabi)and 寂( Sabi)

・・・侘(Wabi)
簡素なkebariにある奥深く豊かな美しさを感じる心

・・・寂( Sabi)
時代を経たkebariの内面から滲み出る美しさを感じる心

・・・哀れ(aware)
kebariを使う事で胴は毛羽立ち、蓑毛も擦れる
朽ちていくものに対する感謝

・・・粋(iki)
kebariの本質を互いに理解している事

========= 理解されている方にあれこれと述べるのは 不粋(無粋 busui)

・・・様(sama)に成る
kebariの本質を理解している事

========= kebariの本質を理解せずに外観だけ真似るのが 不様(buzama)

日本人特有な美意識(美的概念)とされていますが固有では有りません
又、内包的な本質を理解するのは茶道からだけでは有りません
形骸化することでそれもまた外観に捉われた一つの形式美となります

外観では無くkebariの本質を理解しkebariを愛でる事

海外のテンカラフォーラムを拝見していると共通の美意識を強く感じます

(毛鉤に合わせて私自身の上記の語句に対する返答)

審美的なものとして黄金比が有りますが私達は白銀比の中に住んでいます(笑)

参考

英語対訳で読む日本の文化
https://japanese-culture.info/

侘(Wabi) and  寂( Sabi)
https://japanese-culture.info/essays/natural_foods/wabi_and_sabi

都人が愛でたのが絢爛の生活から垣間見る侘びと寂
その中で暮らす民が感じる自身と生活の侘びと寂

サドルハックルの長さを持つジェネティックコックネックを
ドライフライ以上に長さに任せてブラシの様に厚く巻き
それをテンカラ毛鉤と称する
お町の人が嗜むという今のテンカラ釣りにも似る

昔の爺様達はドライフライの様に
少しでも厚く巻くと魚の出方と喰いが悪くなるとして
鋏なり煙草で薄くした毛鉤とは別物

爺様の中にはタグ&リブ等の光物を敢えて使わない方も居ました
これは華美を避ける面も有るでしょうが
効果を理解した上での渓流魚に対する己の矜持と潔さ

口では
「岩魚は川の蛆、釣っても釣っても湧いてくる」と言いながら
頭から骨まで余さず食べるのも岩魚に対する礼儀

渓魚を尊びその住処に対する畏怖(恐れ敬う)気持ちの顕れ
山の岩魚に対する感謝は里の山女魚とは別格

毛鉤は丈夫で使い易い
それは道具として使われているからだと思います

一例として手道具の刃物が有ります

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用途に応じて形が違っていても
日本の打ち刃物とアメリカのナイフは共に美しい
勿論オピネル・ゾーリンゲン・・・・・

ただ打ち刃物の切れ味はたとえ山刀であっても剃刀と同じ
又、鋼の塊から作られた西洋の刃物と違って折れない
相反する鋭さと強靭さを兼ね備えるのが打ち刃物
それを砥石を数揃えて研ぎ澄ます・・・
知らない人からすれば手のひらサイズ程度でも
砥石の値段は理解の範囲を遥かに超える
それがまた違った意味での道具の内面につながる

毛鉤とフライの違いもそれに近い
使う鈎すら和釘の洋釘の違い

逆さ毛鉤 基本

逆さ毛鉤 基本

蓑毛の向きだけでなく受ける水流を
如何に制御するかが逆さ毛鉤の基本
それに比べれば蓑毛に
山鳥・ヤマセミ等の斑入りは好みの範疇
今回は日本雉フェザーに胴は染色した山繭

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逆さ毛鉤 基本

平湯温泉街がまだ砂利道で建物も少なく道から渓の全貌が見えた頃
長野からの険しい峠道を渓に向かって一直線に降りて
そこで見た奇妙なリズム感の毛鉤釣り
山住みから見れば開けた河原に水量の有る太い流れ
そこで教えを請いたのが逆さ毛鉤との出会い
山鳥の胸毛を逆さに向けて黒の細長い胴
・・・一般的には特異な毛鉤
この地区では古くから毛鉤は逆さ毛鉤が普通
鶏の毛も使うし胴の淡色も有る
どちらも水流を受けて動く蓑毛の張りが有ってこその逆さ毛鉤
市販物は雌雉のフェザー使用は量的な面で仕方ないにせよ
もっと柔らかいとなると山岳渓流には無理がある

蓑毛の腰は流れに合わすとここでも教わる
・・・洋の東西どちらも手練れは同じ事を言う
どちらに向けて巻いても柔らかければソフトハックルフライ
ならば敢えて逆さ毛鉤の形式に捉われる事も無い

折角の西班牙上流釣行ならば
彼の地のコックデュレオン逆さ毛鉤
急峻な山岳地帯用に鈎もピーク・ポイントの選択
動きが派手になる腰の有るコックデュレオン用
鈎の選択も楽しみの一つ・・・

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逆さ毛鉤 基本

孔雀胴毛鉤 基本

孔雀胴毛鉤 基本
Peacock body kebari

毛鉤といえば孔雀胴でしょうか
これ程までに一般的過ぎて却って使わない毛鉤の代表格
毛鉤でもフライでもピーッコクハールは万能?
面白いのが
手練れ程孔雀胴に対して疑問視する方が多いのも不思議な話
だいたいは魚の出方が荒くなる
前にも説明済みなので結果論として

浮かし毛鉤は

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孔雀胴 浮かし毛鉤

ピーッコクアイに補強で銅線をリブ毎に入れています
ソラックス部分はピーッコクソードで蓑毛を抑えます
青緑色で青が輝く物を選びます
蓑毛も渓に合わせ様々です・・・取り敢えず3種

沈ませ毛鉤は

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孔雀胴 沈ませ毛鉤

沈ませる場合は銅色に光る物が良いと
今は石のシャッポを被った爺様達に言われておりました
フライに嵌って英国本を見ていると書かれていたのが
銅色に輝くピーコックハールの記述・・・(笑)

孔雀胴毛鉤の基本です

Principat d’Andorra fishing trip用に巻いております

ゼンマイ胴毛鉤 基本

Tradition zenmai body & pheasant-hen·feather

ゼンマイ胴毛鉤 基本

丸セイゴ鈎 加工

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丸セイゴ鈎 加工

アイ付け 20LB バッキングライン使用

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アイ付け 20LB バッキングライン使用

補強を兼ねてタグ&リブ  銅ファインワイヤーをツイスト

ゼンマイ胴の重要点
下巻きに金糸銀糸を巻きます
ここではシルバーティンセルを巻いています
チャドウィックNO,477とピンクスレッドの組み合わせの様です
どちらも濡れると下地が透けます

Important point
Mylar Tinsel’s underbody

Similarity
Chadwick № 477 & Pink thread
The base is visible when wet

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ゼンマイ胴 下巻き

スレッドにゼンマイ綿を撚り着けます
(ループダビング)

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ゼンマイ胴

上側

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ゼンマイ胴

アイの大きさはなるべく小さく
チモト糸をテール代りに出しています

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ゼンマイ胴毛鉤 基本

リブを巻く前にブラシでゼンマイ胴を軽く毛羽立てています

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ゼンマイ胴毛鉤 基本

以下爺の戯言 ——————————————————

米国テンカラ・ウェブサイト
https://discourse.10colorstenkara.com/

でお世話になったスウェーデン王国の方が

Principat d’Andorra fishing trip

に行かれるとの事なので毛鉤だけ参加させてもらいます

毛鉤だけで行った場所を含めれば
日本各地だけでなくアメリカ・カナダ・ニュージーランド・イギリス
初のヨーロッパ進出(笑)

初心に戻って基本的な毛鉤を巻いて春を待ちます

Principat d’Andorra fishing trip

North Country style fishing & Trout flies

North Country style fishing
Clyde Style Spiders & Wetflies
Yorkshire Spiders Trout flies

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North Country style flies #16

安曇野の湧水の川に透明な水の山上湖
山岳渓流の大胆な魚と真逆の神経質な魚達の存在
それは毛鉤とfliesの愉しみの極致
羽化するユスリカやミッジに合わせて
目の前でライズする魚を騙す

川幅に似合わない大型揃いの岩魚に山女魚
従えているのは虹鱒達・・・
木立の中だからバックキャストも儘為らない
飛沫を上げない静かなロールキャストだけの湧水の川

人影は勿論の事、竿の動く影でも
ラインどころか鈎素の動きでも魚が逃げる
透明な水に魚達が浮いて見える山上湖

釣れない魚達を前に
毛鉤を鈎素に結ぶ手も震える
ミッジフライに7Xを下限
・・・掛けてもそれ以下では取れない

ミッジフライにソーヤーニンフにソフトハックルフライ
小型のウィング付きロッホフライに・・・
良き釣り場に恵まれていました

今は老化防止に手先を動かす(笑)
レシピは此処に有ります
http://www.spanglefish.com/realclydestyleflies/index.asp?pageid=422176

ウェブサイトは素晴らしい
・・・釣欲が落ち着いた今だからこそ楽しめるのかもしれない(笑)

過去のflies達

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ロッホ フライ

Spiders & Wet-flies

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Spiders & Wet-flies

湖水用ドライフライ

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湖水用ドライフライ

ソフトハックルフライ Ⅰ

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ソフトハックルフライ Ⅰ

ソフトハックルフライ Ⅱ

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ソフトハックルフライ Ⅱ

纏めてくれる影の立役者

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ホイットレーフライボックス

ホイットレーフライボックス 極薄タイプ

フライで遊ぶとはいえ一番似合った竿は渓流竿の5.3m
・・・本来のロッホスタイルかもしれない(笑)

以下爺の戯言 ———————————-

North Country SpidersとYorkshire Spiders Trout fliesに
使われる銅色のピーコックハールの表記
日本のそれも地方の毛鉤釣りでも良く言われていた事
浮かせ毛鉤なら緑青色で青が強く輝く物が一番
反対に沈ませ毛鉤なら銅色に輝く物に限ると言われていたこと

Clyde Style Spidersにも似た毛鉤
飲み込まれない様に鈎は大きいが胴巻は短い
手練れの毛鉤釣りなら尚更に薄く短い・・・

Clyde Style Spiders並みに小型で無いのは釣場の違い

セイゴ鈎 ≒ セッジ・カディスフック?

丸セイゴ鈎とセッジ・カディス用フックの類似性

西日本で言われる蜉蝣の釣りでは無い
中部山岳地帯の一般的なセイゴ鈎による毛鉤釣り

蜉蝣主体の清流域では無い巨岩・巨石に迸る源流域での
トビケラとカワゲラに合わせた毛鉤用鈎の取捨選択の結果

FF釣法と毛鉤釣りの鈎形状に対する選択の一致の妙味

パートリッジ社で出されていたロングシャンクK12ST
・・・ Long Sedge / Caddis Hook
その後発売されたショートシャンクTS2ST
・・・(シマザキフローティンニンフ)

高価な剣羽根を使うならと耐久性に優れた太軸のパートリッジ社
この選択で
テンカラ竿の毛鉤釣りからFF釣法のフライに嵌る

沢田氏のバートリートセッジフックからTMC200まで
FF釣法の流行りで選択の幅が広がる愉しさ
・・・今となれば泡沫の夢

廃盤なり販売中止で結局は丸セイゴ鈎に戻る
それでも癖の有る鈎で過ごせた事は愉しみの蓄積

巻いた毛鉤の美しさに捕われれば無い物ネダリ
・・・廃盤パートリッジ社フック価格の高騰は恐ろしい

残滓の様な手持ちのパートリッジ社フックでも
気軽に巻けない貧乏性(笑)

Partridge K12ST – Sedge/Caddis Hook
Partridge TS2ST 各サイズ

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Partridge K12ST – Sedge/Caddis Hook

以下爺の戯言 —————————————-

シンプルな道具だからこその選択
これも先達の経験と蓄積の形
単純に
ターンダウンアイフックなりターンアップアイフックだけではない愉しみ
懐古趣味と言われてもこの頃の英国製フックにはそれだけの価値が有る・・・