ハス毛鉤 「歌姫」

ハス毛鉤 「歌姫」
・・・俗称「テンカラのキヨシ毛鉤」

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ハス毛鉤 「歌姫」

その昔、テンカラ毛鉤に使う鈎の解説は
秋田袖の黒鈎か金鈎が推奨されていました
サイズは概ね10号程度とされています
定番以外でも地域色豊かな毛鉤は
秋山郷毛鉤の様に「軽井沢狐7号」や
黒部で使われた「海津8~12号」に
乾毛鉤で使われた「鮎掛け針7号~8号」
関東地方で使われた「ヘラ鮒用スレ鈎7号」等
地域と好みに合わせて様々な鈎が使われています

盛岡毛鉤にも同様の歌姫パターンが有りました
古い盛岡毛鉤の中には鮎毛鉤式に
ピンクの中巻きに巻かれた中金仕立ても有ります
初期に紹介されたテンカラ毛鉤にも同様に
様々な和式毛鉤の技法が使われていました

原点であるハス毛鉤が有ったからこそ
古式毛鉤とテンカラ毛鉤も繋がります
毛鉤釣りがテンカラ釣りと紹介された時代は
ハス毛鉤や西洋毛鉤を基に様々な試行錯誤も有りました

テンカラ毛鉤は何でも良いとか
和式毛鉤に浮く毛鉤は無いとか
尻尾が付く毛鉤は無いとか
タグ(花入)リブ(金ネジ・銀ネジ)は無いとか
質素・簡便・ややもすると貧相とまで・・・
毛鉤よりも誘いの動きの方が大事で
単純な横引きで無く変化を付けるとか
0.2秒の早合わせでなければ釣れないとか
戦前から1970年代迄のテンカラ釣り指南書には無い
不思議な言葉が踊る様になったのは1980年代から
以前は餌釣りと同様に
立ち位置と流す筋に狙うポイントが一番とされていた筈
まして「毛鉤」は飛ぶ蟲に合わせるとも言われていた
本来は一河川でのみ使われていた逆さ毛鉤が
日本各地で昔から有ったとされて、伝統毛鉤に成ってみたり
ラインすら山岳渓流ではテーパーラインが主流のはずが
流行りに乗じて一律レベルライン至上志向に切り替わる
毛鉤釣りのはずが毛鉤よりもメーカーが儲けやすい
新製品の竿とラインのとっかえひっかえに関心を向けさせ
変わり映えしないレベルラインの範囲に縛られるテンカラは
毛鉤釣りの時代よりも選択に幅の無い商業ベースが付き纏う
「十人十色のテンカラ」は先達の影に隠れていた見習いが
一人前の口を叩くようになった1990年代からの常套句
山間僻地の毛鉤釣りすら渓流釣りに対し矜持を持った仲間なら
中部山岳地方全般の「田舎通信」で共有されていたもの
それが世俗を離れた孤高の釣りと形造られ幻とされるのは
喧伝者が自身の為に由来を誤魔化すための虚構の偶像仕立て?
商売繁盛は良いけれど
古式毛鉤から続いているテンカラ毛鉤の史実を
自身の喧伝の為に有耶無耶にしたのにだけは恐れ入る
剣羽根毛鉤を形だけ真似て第一人者として解説したり
これこそ幻の古式毛鉤「蜂頭毛鉤」としていた者が
史実を紹介された途端に「現代版蜂頭毛鉤」と変えてみたり
そんな野放図も「十人十色」とされた免罪符の影に潜みます
戦後の娯楽が乏しい高度成長期に全国の毛鉤釣りを
一般向けに「テンカラ釣り」として再編して広めたもの
釣り人社創設者は古来からの「ハス毛鉤」を基に
試行錯誤しながら「テンカラ毛鉤」として紹介している
そんな古来から続く「和式毛鉤」からの繋がりと楽しみを
断ち切ったのは1990年代後半からの自己流テンカラ喧伝者
その方々の拠り所とされるのが、幻の「職漁師毛鉤」らしいが
時代的にも職漁師が活躍したのは戦後の高度成長期から
渓魚の養殖技術が確立された1955年までの10年間程度
それ以前なら
裏白(ウラジロ)とか
火屋(ホト)で焼き枯らして里に持ち帰ったもの
渓魚そのものが鶏卵と同じく薬代わり
「山の物は山に置け、里に降ろすな」の時代(笑)

本来の毛鉤はもっと愉しい物

使う使わないに釣人の拘りは当然でも
和式毛鉤の連綿と続く史実は掛替えのない宝物
各地に残る伝承毛鉤は先人の知恵の塊
何故を知らず形だけの伝承毛鉤は「張り子の虎」
「菜種針」を初めとするハス毛鉤は全国に行商され
それが和式毛鉤のスタンダードパターンとなる
一方では鮎に特化し「鮎毛鉤」となり
他方では渓流魚用に各地に合わせ作られる
それがフィードバックされ「山女魚毛鉤」にもなる
竿とラインを売らんがためのお先棒担ぎには
一番大事な和式毛鉤の用法とその伝統は伝えようも無い
後継者として伝えられないからこそ
毛鉤は「何でも良い」とか「誘いが大事」とかの的外れ
「魚に聞け」はよく言われるがハス毛鉤は何代もの釣人が
魚に聞いて形造られ定番として残された物
ファイヤーオレンジの「猩々」すら
お町では派手に見えるが自然の中では景色に馴染む
釣りシーズン真盛りでも梅雨の中休み
和式毛鉤を見直すともっと愉しみが増えます(笑)

こんな当たり前のことを書き綴るのも
「テンカラ」が海外で「TENKARA」に変わり
それが流行りとして日本に逆輸入した今だからこそ
有耶無耶と誤魔化しで始まった総称としてのテンカラは
尚一層、金儲けに都合の良い正体不明にもなる
魚を釣りたいだけなら毛鉤は要らない
毛鉤で釣りたいからテンカラが有る

テンカラの語源すら当時の釣雑誌の企ての一つ
各地で行われた毛鉤釣りを総称してテンカラ釣りとしたもの
元々の「テンカラ」は毛鉤釣りを含めた引掛け釣が語源
「撥蛇」を「ツチノコ」と称して全国区入りさせた手法と同じ
釣雑誌が目新しい「テンカラ」を使うようになった当時
古くからの各地の毛鉤釣り愛好家が釣雑誌に対し
疑問や不満を申し述べていた事が当の釣雑誌に残されている
・・・それに対する釣雑誌の回答は「現代テンカラ」

造られた「現代テンカラ」は有っても
「テンカラ」と称する釣り方に正体は無いらしい・・・(笑)

釣雑誌や釣番組も30年来代わり映えしない方々ばかり
FF釣法と同じ有様で竿とラインの商品説明ばかり・・・

渓流釣りの道具は自身を山に招く道標の様なもの
それ以上でもそれ以下でも有りません
殊に「使う毛鉤は何でも良い」とするテンカラは
カーボン竿にレベルラインの組み合わせだけと同じく
「十人十色」と言われながらも愉しみ方が少なすぎます
毛鉤の原点であるハス毛鉤に目を向けてみると
日本古来の毛鉤釣りの奥深い愉しみが伝わります

長ければ良しとするようなロングライン一辺倒と違い
毛鉤の違いに反応する渓魚の有様を近くで見られる毛鉤釣りは
鋭敏な渓魚との間合いを詰める愉しみが有ります
立ち位置の半歩の違いで気取られたり
流す筋によって見切られたり
3㎝も無いような狙い処から外れてみたり
本流用ロングライン逆さ毛鉤の”Tenkara”とは別の愉しみが
山岳渓流のテーパーラインを使う毛鉤釣りには有ります

ご参考までに

取るに足らない爺の戯言よりも今はYouTubeですね
お断りとして、拙ブログとはなんら関係が有りません
何故かとても嬉しさを感じます

竿先の影が水面に映らぬよう竿の大振りを避け
他の魚に気取られぬ様に狙う魚向けて毛鉤を置く
神経質な程に一挙手一投足に気を使い魚との間合いを詰める
そんな狩猟の様な毛鉤釣りの醍醐味も有ります・・・(笑)

ハス毛鉤 「歌姫」” への2件のフィードバック

  1. 「現代テンカラ」に対し、反論覚悟での強烈なひと言。
    敬服いたします。
    皆が真実だと思っていても、実は歪めれた歴史だった。
    そんな事がどれだけ多いか・・・
    ましてや、一般庶民の釣り道具など。
    不明確であっても、後世で興味をもった者に対して、選択肢の一つを書き残せれば・・・

    いいね

    1. 鮎たわけ様 コメントありがとうございます。
      以前、ご紹介した「テンカラ純粋主義者」の方々も少しづつでは有りますが今までの情報に疑問を感じる方が多くなって参りました。当時を知る釣り業界の方も一部の方では有りますが「毛鉤釣り」を総じて「テンカラ」とするにはそれなりの騒動も有りましたから概ね同意するようになりました。飯のタネにするには幻とか有耶無耶が都合が良かったのは・・・(笑)
      秋山郷毛鉤も使われた鈎は今だ「東京狐」と現地では言われていますが、本来は「軽井沢狐」でしたがそれすら知らない方はマルセイゴ型一辺倒ですし蓑毛についても・・・選択肢の一つにもならない、本当に要らない知識ですけどね(笑)

      いいね

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